前回の森林生態系の物質循環の続きの記事で森林の生産性の制御要因である窒素に注目し、処理に困っている家畜糞を施用するとどうなるのだろう?という話題を挙げたけれども、この話題の前に知ることがあると記載して締めた。


今回の話題に直接関係あるかはわからないけれども、


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名古屋大学出版会から出版されている広木詔三著 森林の系統生態学 -ブナ科を中心にに興味深い話題があった。

それは九州南部におけるシイ類の生育についてだ。




シイ類といえば、今までスダジイとツブラジイに触れたけれども、今はツブラジイを見る。

若山神社のシイ林を囲むようにカシ林


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ツブラジイといえば、耐陰性が非常に強く、私の住む大阪北部ではおそらく優先種である木だ。


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ツブラジイの小葉は小さく、たくさんの小葉が集まって展開している。

おそらく、生育条件が悪い時は小葉の数が少なく、生態系内で優先になるに従って枝葉の展開数が増える順次展開型の特徴が強い木ではないか?と予想している。

※順次展開型と対になる用語で一斉展開型がある。




このシイの木だけれども九州南部では、優先種になっておらず、


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イスノキという木が優先種になるそうだ。

どうやら、九州南部という暖かい地域では、シイの木の成長が早いらしい。

九州南部といえば台風の上陸が多い地域で防風に晒される回数が多く、成長が速い≒軟弱な幹では防風で折れてしまう事が多いらしく、更に成長の遅いイスノキが優先種となるそうだ。


ここで考えられる事の一つに、森林の木を人為的に成長を早める事をしてしまっても良いのか?ということ。


家畜糞の処理は微細藻類の培養に用いるのが無難になるのかなと…

海洋では窒素、リン酸や鉄が不足しているらしい


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