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イチゴの果実形成で蓄積するアントシアニンまでの記事で、アントシアニンの蓄積は水から電子を取り出す明反応 > 二酸化炭素を糖に変換する暗反応の関係になった時、行き場をなくした電子が活性酸素となり組織に蓄積する際に、活性酸素を抑えるためにアントシアニンが合成される。

という説が有力であることを記載した。


それは熟成中の果実の着色でも同じことが言える。

果実と活性酸素と言えば、熟成中の光合成量の調整以外に気になることがある。


それは、


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果実内発芽から見える土の状態で紹介した果実内の種子が果実熟成中にしっかりと休眠するために果実内で活性酸素が合成されるというもの。

活性酸素の合成量が不十分であると、果実内の種子は深い眠りに付くことが出来ず、果実内という不適切な時期に発芽してしまうということだ。


メロンの話題になるがこの果実内発芽の原因として、栽培中に硝酸態窒素が多い、もしくはカリウムの摂取量が少ないと、果実内の活性酸素の発生量が低下し、果実内の種子たちは深い休眠に入ることが出来なくなる。


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イチゴが今までの他の果実の話と同様であると仮定して、アントシアニンの合成量が果実の品質の決め手となるとすると、開花前の基本的な生長の時期は硝酸態窒素控えめでカリウム欠乏に注意し、開花後は果実自身が光合成できるように光合成に必要な材料を適宜与え、熟成に関する各種ホルモンとホルモンによって誘導され合成されるべき物質の材料、果実熟成前に急激な温度変化によるストレスで吸水低下を避ける。


そういう複合的な結果が、鮮やかな紅色のイチゴの形成へと繋がっていくのだろうな。


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