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兵庫県の竹野海岸付近で観察したグリーンタフである緑色凝灰岩、

山陰海岸ジオパークの竹野町田久日のグリーンタフ


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徳島でよく見かけた(おそらく)緑色片岩(緑泥石片岩)や

徳島の名水の江川の湧水


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高槻の本山寺付近で見かけた緑色岩の主成分に緑泥石(クロライト)という鉱物があるらしいが、この緑泥石は2:1:1型の粘土鉱物として扱われている。

枕状溶岩と出会いに高槻の本山寺へ3

粘土鉱物が出来る場所、続成作用


2:1:1型と似たような名称で2:1型があるが、2:1型といえば、スメクタイト(モンモリロナイト)やバーミキューライトもこの構造に含まれ、CECが高いイメージがあるけれども、2:1:1型の緑泥石はCECがとても低い。

スメクタイトのCECは60〜100で、バーミキューライトは100〜150のところ、緑泥石は2〜10しかない。

※pH7.0、イオン濃度 10-1〜10-2Nの溶液中の値

※朝倉書店 白水晴雄著 粘土鉱物学 -粘土科学の基礎- 新装版 39ページを参考にして記載

陰イオン交換容量AEC


この話から


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緑色凝灰岩の鉱山から採掘したベントナイトは主成分はモンモリロナイトで肥料全体のCECは高いと思いきや、緑泥石によってCECのスコアを下げている事になるのだなということで、ベントナイト≒粘土鉱物肥料にしてはスコアが低いというイメージに繋がるのが納得出来る。


この緑泥石だけれども、構造を見ていくと興味深い知見がたくさんある。

とその前に2:1:1型粘土鉱物について再び軽く触れることにしよう。




粘土鉱物の定義を再び持ち出してみると、


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層状珪酸塩鉱物であるとされる。

粘土鉱物とは何なのだろう?


127px-Tetrahedron_

(By Pearson Scott Foresman - Archives of Pearson Scott Foresman, donated to the Wikimedia Foundation, パブリック・ドメイン, Link)

SiO四面体と


geometrical-figure-octahedron-19237

Al八面体というものが、


nendo_struct

M. Alexandre, P. Dubois, “Polymer-layered Silicate Nanocomposites:Preparation, Properties and Uses of a New Class of Materials”,Material Science and Engineering, 28, 1~63(2000)の3ページから引用


上記の図のように重なり合って、層の間に水(層間水)を含むような構造になる。

SiO四面体とAl八面体の重なり方は


nendo_struct


このように描写されることが多い。

※注 カオリナイト等は層間水がなしで描かれる

粘土鉱物の構造


上の図の左が1:1型粘土鉱物でカオリン鉱物等が含まれ、右が2:1型粘土鉱物で今回の記事で話題に挙がっているスメクタイトや緑泥石が含まれる。

※層間水の上の構造に注目し、SiO四面体とAl八面体が一つずつあるものを1:1型とし、SiO四面体が2個とAl八面体が1個で構成されているものを2:1型とする


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粘土鉱物の間に層間水があることによって、粘土特有の膨潤性や吸着性というものが出来る。

ベントナイトの膨潤性


この構造を踏まえた上で、2:1:1型粘土鉱物である緑泥石がどのような構造になっているか?というと、


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2:1型粘土鉱物で通常であれば層間水であるところに2:1:1型では同型置換している八面体が挿入していた。

※Mg八面体の箇所はMgでないものもあるはず

同型置換で粘土鉱物の持つ保肥力を高める


粘土鉱物の間が層間物質で満たされているので、粘土特有の膨潤性が弱く、それに伴いCECも低くなっている。

余談だけれども、SiO四面体とMg八面体のところをよく見ると、1:1型の構造と見ることが出来、この視点を元に緑泥石を俯瞰すると、1:1型粘土鉱物と見做すことが出来るので、緑泥石は1:1型のカオリンと同じように見ることが出来る。


緑泥石に関して更に興味深い知見があるけれども、今回の記事が長くなったので次回に記載する。


-続く-


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