時々、栽培技術が高い人がどんな事を意識しているのか?わかる範囲で教えてほしい。

教えてくれたら絶対に言われた通りにするからということで話をすることがある。


上記の方は地域の中でかなり若い方で、本当に全てこちらが伝えた通りの事をした。

最終的には周辺の農家が農薬を使用しても欠株が出た中、農薬を一切使用せずに収穫できた。


今回は上記のような胡散臭い成功体験を書きたいのではなく、この栽培中にあった出来事を書いておきたい。

文中の作物は実際には違うのであくまでイメージで話をする。




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時々、冒頭の方の畑に訪れると、葉色が綺麗で欠株が少なく背丈が揃っていた。

冒頭の方にすごく綺麗に順調に育っていますねと伝えると、意外な返答が返ってきた。


「周辺の畑の人たちにお前の畑はダメだ。色が薄くて株に勢いがない。成長が遅いので肥料を与えていないだろ。と毎日ダメ出しを受けて、畑の前に行くのが嫌になっちゃいました。」と告げられた。

周辺の畑のほぼ全員に言われたらしい。


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周辺の畑はこんな感じ。(あくまでイメージ)

葉色が濃くて、成長がばらついていて、土表面にはヒビが生えている。


確かによく成長しているものは、背丈が大きくてしっかりしている。




あまりにも凹んでいたので、ノートを取り出して、成長が遅く見える要因について考えられる事を伝えた。

考えれば当たり前の話で、よく育っている作物は発根量が多く、初期生育で根の方が優先的に成長するので地上部の成長は比較的遅くなる。

植物ホルモンから再び牛糞堆肥による土作りの価値を問う


根がしっかりと生えた株は窒素系の養分の極端な吸収がなくなるので、葉の色が濃くならず、技術力の高い方にとっては常識の話となっている。

※葉色が濃い株をメタボ状態と呼んでいたりもする。


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間引き収穫して食してみると、葉色の方が食感がよく美味しい事が多い。

葉の色が濃くなるとどうなるのか?


ここで一番驚いたのが、感と経験で栽培をしている年季の入ったベテランが正当に技術を評価できないということ。

技術力の高い人のしていることを伝えた時に、あまりの生育の綺麗さに周辺から称賛されるかもしれないですねという話題があったのに、綺麗の育っているにも関わらず、まさかの罵倒があるとは思ってもいなかった。


一ヶ月後には周辺の農家の出来を超える状態になったにも関わらず、栽培で何処を工夫したか?といった質問すらなかったらしい。


他の業界でこんな事は見たことがない。

嫉妬で罵倒するのあるけれども、結果を正当に評価できずに罵倒する者が何故プロの作り手として生き残れている?


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食味が優れているだけでなく、作業効率でも欠株が少なく背丈が揃っている方が収穫作業のコストが少なく利益率が高いのに、この状態がダメだと言える神経があることが分からない。


結果的に綺麗に育てる事ができた畑の利益率が最も高かった

※実際の数字は見ていないが、欠品率や農薬にかかる経費の観点から利益率が高いことは自明


税金の優遇、補助金やメディアが感と経験の栽培を持ち上げた事で、産業における作り手の淘汰圧がなかったのだろう。

品質を上げるといった努力をしなくても、倒産することがないという異常事態が目の前にあった。

※品質にはもちろん作物の栄養価もある。

兵庫の某進学校に通う高校生に肥料の話をした時のこと


最近の情勢を見ると、この異常な事態もITによって変わりつつあるけどね。


余談

イメージで使用した二枚のミズナの写真は別のところで撮影したと思いきや、同じ場所で撮影したもの。

土の色は施肥設計次第で変化していく。


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