先日の降雪で珍しく、今住んでいるところでも雪が積もった。

雪が積もったと言えば、


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寒さにあたった葉物野菜は甘くなるという話がある。

寒さに当たると葉内の水分が凍結しないように糖を溜め込んで葉内水分の濃度を高め、凍結しないようにする。


この話を聞くと、小学校の時の水を凍らす実験を思い出す。

うちの班は何かの不手際で水に食塩を入れてしまったらしく、その後、水を0度にするけれども一向に固まらずに困ったという話がある。


水が0度で凍るのは水がピュアの時であって、水に何らかの物質が溶けている状態では融点(物質が液体から個体に変わる温度)が下がる。

植物は自身の葉内の水分に様々なものを溶かして融点を下げる。


とは言っても、ここで寒さに晒されることによって葉内に糖が蓄積され…

という内容では発展性がまったくない。


仕組みを知って、寒くなる前に耐寒性の元を仕込んで、寒い時期を迎えた時に植物に少ない労力で耐寒性を発動して頂くのがプロの栽培者というものだろう。

ということで耐寒性に関係する低温誘導性遺伝子について調べてみることにする。




Google検索で低温誘導性遺伝子について調べてみたら、醸造原料 低温誘導遺伝子とその機能 醸協 第89巻 第7号(1994)というドキュメントが見つかった。


古いドキュメントではあるけれども、何らかのヒントになるだろうから読んでみると、耐寒性にはいくつかのグループがあると記載されている。

そのうち、今回の葉物野菜の葉が甘くなるものと関係しているものを探してみると、第1群:LEA(Late Embryogenesis Abundunt)類似蛋白質をコードする遺伝子というものがあった。


記載してある内容を続けて読んでみると、これらの遺伝子産物は凍結に伴う脱水から細胞を保護する役割が推察されている。

と記載されていた。


古いドキュメントであるので、現在はもっとわかっているだろうけど、今回はこのドキュメントを元に話を進めると、脱水から保護ということは、乾燥ストレスに類似した症状になるはずだ。


乾燥ストレス耐性と言えば、以前、細胞内にプロリンを溜め込むことを紹介した。

植物はいつプロリンを合成するのか?


プロリンといえば、糖原性アミノ酸でもあるわけで、

味覚とアミノ酸


LEA類似タンパクが働いたのであれば、葉物野菜が寒さに晒された時に甘くなることは合点がいく。

※プロリンは本によっては苦味を呈するアミノ酸に分類される


更に、よくアミノ酸肥料の効果で耐寒性を得るという話もあるけれども、この話も凍結防止からの脱水を軽減するということで合点がいく。

本格的な寒さが到来した時、耐寒性のために体内のほとんどのアミノ酸を使用してしまうということは避けたいところだ。

グルタミン酸を前駆体とするGABA


補足

第3群、第4群で紹介している遺伝子でショ糖の合成について触れていた。

スクロース - Wikipedia