栽培の中心にはいつも化学の記事を踏まえた内容になるが、農薬を使用せずに秀品率の向上を狙うには、徹底的に土壌環境を見続けなければならない。

作物にとっての生育環境が良くなると、成長が早くなったり、収量が増したりする他、昆虫による食害や病気の感染がほとんどなくなったりと良いこと尽くめ。


上記のような環境はすべての作物で言えると思いきや、



トマトと、



サツマイモで生産性が悪化した。

トマトは木が暴れると言われるなかなか結実しない現象に陥り、サツマイモは発根量が増す割に、一つずつの根の肥大がイマイチになる。


トマトは木が暴れない為に栽培中で様々な工夫があるのだけれども、その工夫が栽培後期のトマト栽培の難易度を上げているような気がしてきたので、トマトの栽培についてを整理して、トマト栽培の課題を見やすくしていく。





トマトの栽培は、大半が直播ではなく、苗の定植を行う。

一般的な苗の詳細はいずれ触れるとして、トマトの場合は一番花のついた老化苗というものを定植する。


他作物であれば、老化苗で畑に定植すると、なかなか活着もしないし、活着後の成長もイマイチになって、余程の栽培計画ではない限り老化苗は定植しない。

トマトは他作物とは逆で老化苗を積極的に畑に定植する。


老化苗を用いることで、発根を含めた成長を抑えて、後の樹勢を暴れさせないようにする。




ここで持ち出したいのが、家畜糞による土作りの土から収穫した野菜の摂取は健康に繋がるか?で記載した内容の



(あくまで傾向ではあるが)根で地上部に近い箇所では主に窒素系の養分を吸収し、根の先端では金属系の養分を吸収するという内容で、トマトの老化苗を定植したのであれば、定植後から収穫期までずっと根の先端が少ない状況が続くわけで、窒素系の肥料が効きやすく、カリウム、マグネシウムや微量要素の肥料は効きにくくなる。





話はトマトの花落ちを理解するために微量要素の観点を持ち出すの記事までで触れていたトマトの施設栽培での花落ちに戻す。

前回までの記事では花落ちの要因はおそらく亜鉛の軽微の欠乏症ではないか?と当たりを付けたわけだけれども、先程の老化苗の話題を加味すると、亜鉛にアタリを付けて追肥をしたとしても、トマトの方の亜鉛の吸収能力が低い可能性が非常に高い為、(根に与える)施肥による花落ちの回避は非常に難しいという結論に行き着いた。


これらの背景があるからか、トマト栽培における環境制御の技術が発達したのだろう。

ただ、環境制御は設備投資がべらぼうに高い為、トマトの市場が荒れると、そのあおりで経営が悪化しやすいというローリストハイリターンの側面があるため、環境制御に頼りすぎない肥培管理というものが必要になる。


根から微量要素の吸収がダメなら、葉面散布で与えるしかないので、トマトの栽培をするなら微量要素の葉面散布剤は巧みに扱えなければならないのだろうなと。

葉面散布と尿素


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