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カテゴリー : 植物栄養

神奈川県相模原市の養鶏場、株式会社コトブキ園では高品質な鶏糞堆肥の製造を行っています
コトブキ園の鶏糞堆肥の取り組み
電子書籍の販売をはじめました
 

土壌中の有機態リン酸の利用を促したい

有機態リン酸ことフィチン酸の測定方法はあるのか?の記事で、有機態リン酸ことフィチン酸の測定方法を見た。土壌分析の内容は置いといて、今回は土壌への残留性が高いフィチン酸が過剰に蓄積してしまった場合を考えてみる。フィチン酸は穀物内の貯蔵性リン酸として存在していて、米ぬかや家畜糞の未消化のリン酸として含まれている。Yikrazuul - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる貯蔵性ということで非常に安定した形をしつつ、六角形の各々の角にあ...

 

有機態リン酸ことフィチン酸の測定方法はあるのか?

有機態リン酸の過剰蓄積についてを考えるの記事で有機態リン酸の形状、過剰蓄積の場合の栽培上の問題を整理して記載した。Yikrazuul - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる有機態リン酸ことフィチン酸が土壌に過剰に蓄積すると、植物は微量要素の吸収が阻害され弱体化する可能性があるにも関わらず、既存の土壌分析の方法ではフィチン酸は測定の対象外になっていて、可視化されないという問題がある。なぜ、土壌分析でフィチン酸を測定しないの...

 

腐植は土壌中のリン酸の固定を防ぐ

ラッカセイの真価を発揮するために石灰施肥に注意する必要がありそうだの記事で、低リン酸耐性作物であるラッカセイが土壌のpHが低い土壌で真価を発揮するが、莢形成時期にカルシウムが必要ということで石灰を与える必要があるというという問題で、施肥後に土壌のpHを高めることがないクエン酸石灰が有効である可能性が高いという内容を投稿した。これに加えてもう一つ見ておきたいことがある。それは腐植質肥料こと、腐植酸だろうか。図:藤嶽暢英 土・水環境に遍在するフミン物質の構...

 

ラッカセイの真価を発揮するために石灰施肥に注意する必要がありそうだ

国内でラッカセイの需要はどれ程あるのか?までの記事で、低リン酸耐性作物であるラッカセイについてを見てきた。ラッカセイはpHが低い(5前後)で難溶性のリン酸(Al型リン酸)の吸収が盛んになるという真価を発揮する。ここで一点程気になることがある。一般定説としてラッカセイは実の形成時にカルシウム(石灰)が不足すると空莢が増えて収量が減るという事。収量を減らさない為に苦土石灰を施肥することが推奨されているが、苦土石灰は生理的塩基性肥料(pHを上げる)として扱われている為、ラッカセイの...

 

ラッカセイはAl型リン酸を利用できるか?

レガシーPの利用を考えるの記事で、土壌に過剰に蓄積してしまうリン酸の中で、植物にとって最も利用が難しいAl型リン酸について見ていくことにした。前回の文末で低リン酸耐性作物のラッカセイに触れたが、一旦置いといて、難溶性のAl型リン酸が自然に可溶化するのか?について見ていくことにする。安定したAl型リン酸ことリン酸アルミニウムであって、強酸に触れ続ければ可溶化するらしく、天然に存在するものであれば、NEUROtiker - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リ...

 

レガシーPの利用を考える

汚泥肥料の特徴を把握しておく必要はあるだろうまでの記事で、リン酸の製造から使用までを俯瞰してみてきた。肥料としてのリン酸は施肥後に土壌に吸着して安定しやすく、残留性が高い要素であると言える。土壌分析でリン酸の数値が高い結果が返ってきたら次作は気を引き締めた方が良い更に化学合成の過程を経て製造された水溶性(速効性)のリン酸肥料であっても、難溶性のFe型リン酸やAl型リン酸を含んでいることがわかり、吸着以前に施肥の時点で肥効に無駄が多い肥料であることがわかった。※Feは鉄、Alは...

 

開花できないアワダチソウたち

いつも通る河川敷。セイタカアワダチソウの群生の中で赤丸で囲った箇所で花が咲いていない。いつもの如く、ネナシカズラに寄生されていた。誰が最後に巻き付くか?ネナシカズラに寄生された株は養分を盗られて開花できなくなったのだろうけれども、何の養分がトリガーになったのだろうと考えさせられる。リンか亜鉛か?ネナシカズラからは様々な疑問が生じるものだ?亜鉛欠乏と植物のオートファジー

 

BB肥料を使う時は被覆材に気をつけた方が良い

ネギ作の間の稲作では老朽化水田化に気をつけろの記事に引き続き、ネギの連作に関する話題を続ける。ネギに限らず特定の作物を連作すると、連作障害というものを受ける。連作障害の最大の要因は特定の養分(カルシウムやリン酸等)が蓄積していくことで、それらの要素を意識的に減らして、作物の収穫時の畑からの持ち出し時に合わせて持ち出せばいい。連作に限らずで畑作で不調になる要因として土壌鉱物の劣化がある。土壌分析でリン酸の数値が高い結果が返ってきたら次作は気を引き締めた方が良いカルシ...

 

ネギ作の間に稲作でネギの秀品率を上げるつもりが…

ネギの周年栽培をされている地域で、ネギの生育が不調になったら、時々、稲作をして再びネギの栽培に戻るということをしている。栽培が不要になる原因はほぼすべてが一部の養分(リンや石灰)が溜まり過ぎで、それらを潅水して溶かして流すという効果を狙っている。土壌分析でリン酸の数値が高い結果が返ってきたら次作は気を引き締めた方が良いカルシウム過剰によるカルシウム欠乏ただ、近年はネギ作の間に稲作を入れても、狙ったような効果は得られず、ネギ作の不調が続いているそうだ。溜...

 

対流圏と成層圏

今回の記事では前回の隕石由来のエアロゾルの記事に記載した内容を深く理解するために気象の用語に触れていくが、あくまでも自身の理解の為なのであまり参考にしないように。前回の記事では成層圏で隕石由来のエアロゾルが出来て、それが対流圏に流れてきているという内容を記載した。エアロゾルは雲のタネのようなもので、鉄やマグネシウムを含んでいる可能性があるわけで、栽培に直結する可能性も高い。だから、用語を一つずつ整理しながら理解を深める必要がある。というわけで対流圏について触れてみる。...

 

今年は稲作で追肥をしている方をよく見かけるの続き

今年は稲作で追肥をしている方をよく見かけるの記事で、タイトルの通り、一発肥料 + 追肥(穂肥)をしている方をよく見かけるという内容を記載した。先日、比較的若手の稲作をされている方が、家業の稲作を継いでからはじめて追肥(穂肥)を行ったという話を聞いた。10年以上も稲作を行っていてはじめての追肥。それだけ一発肥料の設計が秀逸であった事がわかるのだけれども、その一発肥料が意図通りの肥効を示さず、追肥を行う状況になってしまった事は深刻視すべきだと思った。一発肥料は穂肥も加味した設計に...

 

今年は稲作で追肥をしている方をよく見かける

近所の田付近を歩いていると、今年は追肥をしている方がよく目に付く。この地域では、大体の田で同じ一発肥料を同じように施肥していて、施肥設計で工夫されている方はほぼいないらしい。稲作でよく見かける一発肥料についてそれにも関わらず、追肥をしている方が多いのを見ると、一発肥料の設計が通用しなくなっているという不安が生じてくる。通用しなくなっているのは年々劣化が進む土壌に因るものか?それとも猛暑日が増えてしまったことに因るものか?ここで興味深い事として、いつ...

 

師から教わったサツマイモの栽培

サツマイモの葉が茂っているところを見ていたら、ふと思い出したことがあるので記載する。※上の写真は件のサツマイモが茂っているところではなく、はじめてサツマイモの花をこの目で見たよの記事のものを掲載している。レタスを収穫した後に、畝はそのままにしてマルチも剥がさず芋づるを土に指すと、高品質なサツマイモが収穫できると栽培の師から教わったことを。トリコデルマと聞いて思い出す師の言葉なぜ、レタスの後にサツマイモを育てると良いのか?今わかっていることを整理すると、...

 

夏の夕立は恵みの雨

住んでいる地域で一昨日、昨日と連日で夕立があった。特に昨日の夕立は短時間であったけれども、前が見えない程の大雨だった。夕立が降るのは植物の光合成が落ち着いてくる時間帯で、夕立後の生育にプラスになるのでは?と期待してしまう。昨日の夕立は雷雨で風量が少ないので、稲作と畑作にとって恵みの雨だったはず。雷雨の翌日は植物らが活発になるふと、雨にはどんな成分が含まれているのだろう?と気になったので、検索をしてみたら、古い記事ではあるが興味深い内容があったので紹介する。...

 

第二世代遺伝子組み換え作物のゴールデンライス

稲作のポテンシャルと飼料米の記事で、飼料米についてを見た。日本の畜産の現在において主の飼料は海外のトウモロコシやコムギらしいが、トウモロコシから飼料米に転換したら何を意識すべきか?という視点で見てみた。研究所が公開している資料によると、個人的に一番の大きな違いに見えたのは色素であるカロテノイドだった。飼料米を主にした時に、カロテノイドを補完するとしたら、カボチャやパプリカで、後者のパプリカを用いるとすれば、海外依存度合いが高いらしく、飼...

 

カリ肥料の代替を探す

社会情勢により肥料不足が深刻化しているという報道を頻繁に見かけるようになった。先日の報道で、カリ肥料の入手が困難になり、カリを多く必要とするダイコンやニンジンといった根菜類を主に栽培している方への影響が大きいという内容があった。※カリ=カリウム(K) 根肥として扱われるその時に挙がっていた肥料というのが、塩化カリだった。塩化カリといえば、強酸と強塩基で構成された塩で、比較的速効性で施肥後に土壌のpHに影響を与えないカリ肥料として重宝されているが、陰イオンの方の...

 

ラッカセイの根の脱落細胞にはリン酸鉄を吸収しやすくなる機能があるらしい

養液栽培の養液の交換回数を減らすことは可能か?の続きの記事で根圏について触れたが、その時に興味深い内容を見かけたので紹介する。/*************************************************/不溶性の鉄結合型のリン酸に落花生の根の細胞を加えると、リン酸は鉄から遊離して溶出する。これは、細胞壁中のフェノール化合物が、リン酸と結合している鉄を吸着するためと考えられている。鉄結合型はそのままでは微生物にとって利用不可能であるため、この現象により微...

 

鉄分不足の解消で野菜の摂取は期待できるのか?

しっかりと睡眠をとっても、起床後に疲労感が残っている。いくつか注目している箇所があるので、一日に歩いている時間は結構なものになり、それが疲労感の原因では?と指摘された。今年最大の出来事は物理性の改善 + レンゲ + 中干しなしの稲作によるインパクトを感じたことであれば、疲労感は何らかの栄養が不足しているからだろうとアタリを付けた。調べてみると、鉄不足により疲労感の解消がなくなるという内容を見かけた。確かに、足の裏を頻繁に刺激する運動で赤血球が潰れ、鉄欠乏を誘発するとい...

 

果実が円状のナズナたち

毎日同じ道を歩いているのに、何らかの得られる事があるのが、植物を学ぶというところの良いところ。先日、いつも歩いている道でふと目に付いた草があった。この草はアブラナ科のマメグンバイナズナではないだろうか?グンバイナズナの果実は先端の切れ込みが深くなるらしいので、マメグンバイナズナだと判断した。※以後はマメグンバイナズナをグンバイナズナとして扱う株数が4株と少なかったが、昨年見かけなかったことから、おそらくちょうど今生息域を拡大させているのだろう。※昨...

 

レンゲ米の田にナズナのタネが大量に落ちた

いつも観測しているレンゲ米の水田だけれども、今年はナバナが田一面を占め、一斉に開花した。物理性の改善 + レンゲの栽培で植生は変化したか?開花したということは、当然、実を付けてタネを落とす。ナズナは自家受粉だったので、花粉の持ち出し量はほぼないはずで、タネに微量要素やリン酸がパックされた状態になる。タネはほぼ重力散布であったはずなので、そのままの場所にタネを落とし、タネとしての養分持ち出し量は気にしなくて良いはず。なんてことを考えていたらふと気になった...

 

泥炭土の地域のハウス栽培は難易度が高い

知人とのやり取りでふと考えさせられる案件があった。とある地域のハウス栽培で緑肥をかました後に作物を定植したら、葉が黄化したというもの。緑肥を鋤き込んだ後、すぐに定植して窒素飢餓になったのか?といえばそうではない。緑肥の後に緑肥の効果に甘えて施肥設計を控えめにしたのか?といえばそうではない。だから頭を悩ませていた。これに対して、一つ頭に浮かんだ。話題の箇所は泥炭土でハウス栽培をしていたなと。そして、緑肥の肥料として鶏糞を使っていたなと。葉の黄化は...

 

作物の花弁の脱色が金属要素の欠乏のサインになるかもしれない

農道を歩いていた時に目についた作物がある。おそらくナバナだろうけれども、気になった箇所というのが、花弁の一部が脱色していたことだ。花弁の黄色い色素といえば、フラボノイドかカロテノイドで、どちらの色素にも言えることだけれども、色素を合成する為には金属酵素が重要となる。花の色を決める4大色素リグニン合成と関与する多くの金属たちカリウム、銅や亜鉛が欠乏しているのでは?と予想をしていて、このまま放っておくと、作物はまともに育たないのに農薬の使用...

 

ツワブキを見て、キクイモの栽培を思い出した

道の隙間から生えたツワブキが大きいの記事を書いていた時、ふと頭に浮かんだ事がある。師のところに居た時に、キクイモを植えたのだけれども、キクイモは養分食いで収穫後はしばらく何も育てられないという話があった事を思い出した。私のとっての農業とSOY Shopこれはどういうことなのだろう?という事が、ツワブキを見ていて少しわかった気がする。キクイモは川に近いところの植物なんだろうなということ。養分食いという言葉を聞いて連想するのが、与えた肥料分...

 

中干し無しの稲作をするに当たって、レンゲの播種が間に合わなかった時にすべきこと

稲作をされている方に中干しをしないことが稲作の利益率を高める確信を得たの記事内容にある物理性の改善 + 中干しなしの栽培で見られた現象と考察を伝えたところ、詳細を知りたいとのことで検討会の資料を渡した。当ブログに記載されている事がすべてなので、資料ではなくこの記事から過去記事にさかのぼってもらえば良いのだけれども、まぁ、良しとする。資料を踏まえた上で一つ挙がった意見に、今から(時期的な話)ではレンゲの播種は間に合わないので物理性の改善はできないというものだった。レンゲは安価に土の...

 

中干し無しの稲作でリン酸第二鉄を組み込むべきか?

中干しをしないことが稲作の利益率を高める確信を得たの記事で乾田での稲作では土壌の物理性を高めた上で中干しをしないことが環境負荷が少なくしつつ利益率を高める上で有効であるとアタリを付けている。中干しをしない事での課題の一つに収穫前の肥料の効きが強くなってしまう状態になり、田植え前の減肥が重要になる。中干しをしないことで、田の窒素固定能が高まりつつ、入水に因り金属系の養分は確保できるが、相対的にリン酸の量が減ってしまうのでは?という懸念がある。※リン酸も入水により得られるが、他の金属...

 

イネは水を求めて発根を促進するのか?

前回の物理性の向上 + レンゲ栽培 + 中干しなしの稲作の新たに生じた課題の記事に関して、整理しておきたい内容がある。稲作の中干しで時々見聞きする中干しで水を切ることによってイネは水を求めて発根し、後の登熟時に株全体を支えるようになるという内容だ。田に水を張リ続けると常に水がある状態になり、根は常に水を吸収できて発根を怠けるという人目線で説明されているのが気になっている。上記の話があるということは似たような現象が観測されたからなのだろうけれども、保水性を高めた土壌にお...

 

菌根菌は木炭の施用で活性化する

木炭によるVA菌根菌の感染の促進機構 - 草地試験場 生態部 - 農研機構という読み物を見かけた。※図:晝間敬等 リン栄養枯渇条件下での根圏糸状菌による植物生長促進 - Jpn. J. Phytopathol. 84: 78–84 (2018) 80ページ 図1より引用※菌根菌は上の図の右側土壌中の糸状菌が植物に対して病原菌となるか共生菌となるか?は施肥次第グロムス門の菌根菌とは何か?牧草のオーチャードグラス(イネ科)とアルファルファ(マメ科)での話題だけれども、...

 

ノアズキの蕊はハナバチの頭の裏側にそっと回り込む

ノアズキの花が咲いていた。初秋に咲く黄色い花の群生にハナバチが集まるノアズキの花周辺でハナバチがたくさん飛んでいた。ハナバチはノアズキの花の蜜を集めていた。ハナバチとノアズキの挙動をマジマジと見ていたら、ハナバチがノアズキの奥に顔を突っ込んだ時に、まるで人が隣の人と肩を組むように蕊がハチの頭の裏側に回り込んで、複眼のちょうど上辺りの顔の左上にちょんと花粉を当てた。ハナバチは花粉を主の栄養源にしているはずで、花粉も持ち帰ることをよく見るけれども、ノア...

 

葉が発する香りを整理してみる

先駆植物のサンショウについて学ぶの記事の続きをする前に、植物の葉を損傷した時に発せられる香りの仕組みというものを見ておきたい。香り化合物の合成経路から見えてくること例えば、Calvero. - Selfmade with ChemDraw., パブリック・ドメイン, リンクによる青葉アルコール - Wikipedia植物の香り化合物の一種である青葉アルコールを持ち出してみる。en:User:Edgar181 - en:Image:A...

 

稲作で殺虫剤の代わりはあるか?

無効分げつの発生を抑える為の中干しは必要なのか?の続きまでの記事で、慣行的に行われている中干しが今後の稲作で足を引っ張る可能性が非常に高い事を記載した。※写真はヒメトビウンカイネの栽培で最も苦戦するウンカを含むカメムシ目の昆虫の食害被害に対して殺虫剤は効かない可能性が高く、天敵に頼らなければならない状態は年々重要度を増していく。カメムシが殺虫剤の抵抗性を得る仕組みトビイロウンカは大陸から季節風にのってやってくるカメムシやウンカは殺虫剤の抵抗性をいとも簡単に獲得...

 

無効分げつの発生を抑える為の中干しは必要なのか?の続き

無効分げつの発生を抑える為の中干しは必要なのか?の続き。今まで持っている知見を合わせて、稲作の前のレンゲ栽培で土作りの効果が最大になるようにレンゲを育てたところ、レンゲ鋤込み後のイネの生育で、例年と同じ施肥量にも関わらず、肥料がよく効いているように見えるようになった。おそらく、レンゲが生合成した有機物量が例年よりも多い状態になったことが要因だろう。成長が旺盛になったことで、田の茂り方で懸念が生じ、成長を抑える為の中干しが必要なのでは?という質問が挙がった。...

 

ヤシャブシの実も肥料として利用

ヤシャブシは水田の肥料として利用されていたらしいの記事に引き続き、今回もヤシャブシと栽培の話にする。前回の話でヤシャブシの実にはタンニンが豊富に含まれていると記載した。これは、動物に実というか、タネを食べられないようにするためだろう。ヤシャブシの実には動物が食べるような果肉はないはずで、タネに翼があって風にのって広く散布する仕組みであるらしい。ヤシャブシの実がどんな構造なのか?はマジマジと見たことがないので、実を拾ったらしっかりと見てみることにしよう。話は...

 

トマトの品質向上のための摘葉

トマトの秀品率の向上の技術の一つとして摘葉がある。ある程度の段数(花が咲く節を下から1段、2段と数える)になったところで、若い葉を取り除く。※実際は花の器官が発生し始めることに葉を取り除く若い葉を取り除くことによって、蒸散を抑えられたり、最も光合成を行う下の方の葉に適切に太陽光が届くようになる。他に興味深いのが、シンク強度の話題で、師管の働きと圧流説下から転流してきた養分が上の図のような関係で分配されていた場合に、一...

 

トマトの栽培では土壌鉱物の劣化に細心の注意を払うべき

トマトの一本仕立てで発根量を抑えることでの懸念の記事で、トマトの一本仕立てにより発根量を抑える事でカリウム欠乏が発生しやすいのでは?という内容を記載した。下葉の葉の先端が萎れる現象と同じぐらい、上葉が内側に丸まるという現象もよく見かける。上の写真の葉の丸まり方は大した事はないけれども、土耕のハウス栽培では葉巻のように丸まっているものをよく見かける。これは肥料過多や病気の可能性が高いと言われている。ここでいう肥料過多というのは窒素系の肥料で、相対的に金属系の要素...

 

トマトの一本仕立てで発根量を抑えることでの懸念

前回のトマトの一本仕立ての記事を踏まえて、今回の内容へと続ける。トマトの木を一本仕立てにすることで、光合成能が高い下の葉に適切に太陽からの光が届き、秀品率が向上すると思いきや、ここで一点気になる事がある。気になることの話題を挙げる為に、高校生物あたりで習う植物ホルモンのオーキシンについて触れる事にする。オーキシンといえば、脇芽の発生は先端が抑えてる地上部の頂点で合成されて、頂点よりも下の脇芽の発生を抑制している。オーキシンの他の働きとして、維管束の形成...

 

グローバック栽培

写真:京都北部の舞鶴全般の土壌の考察の記事より水耕栽培で時々見かけるグローバック栽培というものがある。通路に置いている細長いものの中に、写真:椰子の実の脂肪酸と菌根菌の記事よりヤシガラが詰められている。水耕栽培といえば、By D-Kuru - 投稿者自身による作品, CC BY-SA 3.0 at, Linkロックウール - Wikipediaロックウールをよく聞くけれども、ロックウールよりも栽培しやすいという話をよく聞く。...

 

トマトの栄養価から施肥を考える

たまたまトマトの栄養価について記載されているプリントが目に付いたから読んでみたら、糖や色素のリコペン以外に不飽和脂肪酸のリノール酸やアミノ酸のグルタミン酸が記載されていた。今回の内容からいきなり脱線するけれども、英語版ウィキペディアのEdgar181さん - en.wikipedia からコモンズに移動されました。, パブリック・ドメイン, リンクによるリノール酸に関して、トマトから中性脂肪の燃焼を助ける物質を発見 - 京都大学 - Science Portalという記事...

 

トマト栽培において最適な根域温度は何℃であるか?

前回のトマトの水耕栽培で水温を意識すべきか?の記事の続き。前回の記事ではトマトに与える養液の水温の違いで成長の違いを見ていた研究報告を紹介した。12℃という低温の養液を与えることで、成長は抑えられるが、果実の品質が向上するという内容であった。前回の内容から更に知りたい事として、最適な水温は何℃であるか?になるかと思う。この疑問の対して、河崎靖 トマトの周年安定生産を目的とした局所温度制御システムの開発に関する研究 - 農研機構研究報告 野菜花き研究部門 第 1 号:35~72...

 

トマトにケイ素を施用した時の効果を考えてみる

有機栽培で使える可溶性ケイ酸は何処にある?までの記事でトマト栽培とケイ素の話題を記載してきた。キュウリでの話であったが、ケイ素を吸収することで、葉内のマンガンの分布が均一化する事がトマトでも同様の事が言えるならば、これは相当凄いことになる。葉でマンガンが均一化していないということは、葉で局所的にマンガンが過剰になっている細胞と、逆の欠乏になっている細胞がある事になる。順は逆になるが、マンガンが欠乏している細胞では光合成の最初の反応である水から電子を取り出す事がうまくいかずに光...

 

トマトにどうやってケイ素肥料を効かせるか?

前回のトマトとケイ素の記事で、トマトはケイ素が非集積型の植物に分類され、ケイ素(ケイ酸)肥料を寝に与えても、根の周辺に集まったままであるらしいが、それはトマトの根のケイ素の輸送体の一部が欠損していたという理由だった。輸送体が欠損してから相当の時間が経過したので、葉や茎でのケイ素の要求はいくらか変化してしまったかもしれないが、ケイ素がないと奇形になるので、地上部はケイ素を求めているはず。そんなトマトに対して、どのようにケイ素を与えれば良いのだろうか?根からの吸収が期待できないと...

 

トマトとケイ素

農文協から出版されているオランダ最新研究 環境制御のための植物生理という本で、ケイ素の話題がある。未解明の部分は多いが、ケイ素がもたらす良い効果が紹介されている。例えば、レタスがケイ素を吸収し体内で利用することで、マンガンの毒性を緩和するというもの。マンガンは光合成にとって重要だけれども、活性酸素に関与する要素でもあるわけで、葉に局所的に蓄積されると毒性を生じる。牛糞で土作りをした時の弊害をまとめてみるとレタスがケイ素を吸収する事によって、葉内のマンガ...

 

石灰過剰の土壌で鉄剤を効かすの続き

石灰過剰の土壌で鉄剤を効かすまでの記事で、塩の溜まりやすいハウス内では鉄欠乏に陥りやすく、クエン酸による定期的な除塩は必要では?という内容を記載した。ただし、クエン酸は弱酸といえど、酸であるわけで、土壌の鉱物に何らかの影響を与える。であれば、除塩しつつ、鉱物の劣化を軽くする対策も合わせてしておきたい。なんて事を考えた時に頭に浮かんだ事が、2:1:1型の粘土鉱物である緑泥石だ。※左が一般的な2:1型の粘土鉱物で右がMg緑泥石緑泥石は上の図の右側の...

 

石灰過剰の土壌で鉄剤を効かす

前回の施設栽培で軽微な鉄欠乏の症状を見逃すなの記事で、タイトルにある通り、施設栽培での鉄欠乏の話題に触れた。明確な欠乏症があれば楽なのだけれども、鉄に限らず軽微な欠乏症というのは何かと厄介だ。特に微量要素と呼ばれるのは電子の運搬に関わっているので、軽微な欠乏であってもかなり厄介。施設は慢性的に鉄の欠乏症が発生するということで、この問題にどのように対処しているのか?を整理してみると、キレート鉄の施肥という技術で回避しているそうだ。キレート鉄の使いどころ水に溶解した鉄...

 

施設栽培で軽微な鉄欠乏の症状を見逃すな

トマトに限らず、施設内での栽培では鉄欠乏に陥りやすい。鉄は土壌中に大量にある成分であるはずなのに、何故鉄欠乏に陥りやすいのか?考えられる点は二点。鉄がいくら多いといえど、土を酷使している場合は、吸収できそうな鉄の絶対量が少なくなっている。もう一点は土壌の化学性の観点になる。施設は降雨が無いため、露地作と比較して、土が大量に水を得る機会が少ない。トマトであれば更に水を控えるという管理があるので、土が得られる水の量は更に少なくなる。降雨というものは偉大...

 

光ストレス緩和の為のフラボノイド

前回のアブシジン酸は根以外でも合成されているか?の記事で、アブシジン酸は根だけでなく、葉でも合成されるという内容を記載した。それに伴い、強い光量による光ストレスによってアブシジン酸が合成され気孔が閉じるということもあり得るわけだ。光量が多くても、土の保水性がしっかりしていて、根からの水の吸収が常に蒸散に追いつくといった状態があるわけで、光ストレスでの生産性のロスも加味する必要があると思った。この課題が挙がった時に頭に浮かんだ事として、植物が有害な紫外線から身を...

 

アブシジン酸は根以外でも合成されているか?

施設栽培におけるECの管理についてまでの記事で、根からの吸水と気孔の開閉を見てきた。今回のは再び気孔の開閉に関して触れる事にする。高温ストレスと気孔の開閉についてを考えるまでの記事で乾燥や高温といった植物にとって辛い環境になると根がアブシジン酸を合成して、それが葉に到達して気孔を閉じるという内容を記載してきた。どちらも葉からの急激な蒸散による脱水症状を避ける為の防御反応のようなものだ。これらの内容以外で、光ストレスにより気孔を閉じるというものを見かけた。 ...

 

トマト果実の割れを回避するために気孔の開閉を考える

前回のトマト果実の割れを回避するために葉のシンク強度を考えるの記事に引き続き、今回は葉の方の挙動である気孔の開閉について見ていくことにする。トマトの葉の裏側を顕微鏡でみると、Photohound - http://remf.dartmouth.edu/images/botanicalLeafSEM/source/16.htmlLicense on site: http://remf.dartmouth.edu/imagesindex.html この JPG ...

 

トマトの果実のヒビ割れ問題に触れてみる

(主に露地栽培で)トマトの果実のヒビ割れがある。これは果実の肥大期に大雨等で根から急速に吸水した時に果実に水が集まり、内側からの膨圧に耐えられるに果実が割れる現象だと言われている。割れた果実は糖濃度が下がってしまうため、割れる直前よりも美味しくなくなる。土作り有りきのトマト栽培で果実のヒビ割れは花落ちと同じレベルの難所になるだろうから整理しておいたい。ヒビが割れるという現象のみに注目すると、果皮が硬ければ内側からの膨圧に耐えられるわけで、果皮自体を丈夫にすればヒビ...

 

トマト栽培の土作り事情

トマト栽培で老化苗を定植したら微量要素の課題が付き纏うの記事で、トマト栽培で木を暴れさせずに収穫する工夫の一つに老化苗を定植するという内容を記載した。老化苗の定植が背景にあるのか?施設栽培に限らず、トマトの栽培では厄介な内容が付き纏う。その内容とは、トマト栽培の土耕において、土作りをほぼせずに株に負荷をかける栽培をするということ。確かに土の物理性を改善しなければ、発根量は減るわけで、発根量が減れば木が暴れるリスクは軽減される。ただ、物理性を改善しな...

 

トマト栽培で老化苗を定植したら微量要素の課題が付き纏う

栽培の中心にはいつも化学の記事を踏まえた内容になるが、農薬を使用せずに秀品率の向上を狙うには、徹底的に土壌環境を見続けなければならない。作物にとっての生育環境が良くなると、成長が早くなったり、収量が増したりする他、昆虫による食害や病気の感染がほとんどなくなったりと良いこと尽くめ。上記のような環境はすべての作物で言えると思いきや、トマトと、サツマイモで生産性が悪化した。トマトは木が暴れると言われるなかなか結実しない現象に陥り、サツマイモは発根量が増す...


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