栽培で何をしたら良いか?と聞かれ、
空いている期間が少しでもあれば、堆肥を入れて緑肥を育てるべきだと伝える。
堆肥では牛糞等の家畜の施肥は基本無しだが、露地で長期間緑肥を栽培できるのであれば有りだと伝える。
しばらく時間が経過した後、話題のほ場に行くと緑肥を育てていないことが多かったりする。
理由を聞いてみると、時間が確保できなくて、緑肥にまで手が回らなかったと言う。
更に時間が経過した後に改めてほ場に行くと、病気が蔓延していて株の回収作業で忙しくしていた。
この話の詳細はトマトのハウス栽培で、青枯病菌の蔓延だったのだけれども、色々と時間がなく緑肥をせずに、栽培開始前に土壌消毒だけ済ませて定植した。
※土壌消毒はトマト栽培の最大の課題の青枯病についてを見るで記載した通り、トマト栽培において期待した効果になることはない。
冒頭からの話を他の産業の方が聞くと、色々とありえないという返答が返ってくる。
明確なリスクがあるにも関わらず、リスクを放置した上で栽培(生産)を開始し、明確な症状により苦戦して、時間と経費を浪費する。
トマトの青枯病菌による症状はホウレンソウのような軟弱葉物よりも栽培期間が長く、収穫までにかかる経費は比にならない程大きいにも関わらず。
※上のトマトの株の大きさだと、ホウレンソウであれは一回目の収穫が始まりつつある時期になっている。
ここで見えてくる問題として、
・利益率の向上に対して、適切に人員を配置できていない
・他の方から得られたリスクの知見や回避方法を適切に評価できない
の二つが挙げられる。
先に後者に触れておくと、美味しい野菜の栽培を目指していた方にあったことで記載した通りなので、情勢が変われば自然と淘汰されるので放っておく。
大事なのは前者で、リスクは自身が痛い目に合ったので重々承知だが、それでも煩雑な業務が山のようにあって適切に人員を配置できないということであれば、この箇所こそが農業という産業においての真の意味での人手不足になるわけで、世間がいう人手不足とは異なることになる。
栽培開始時点で収穫直前に起こりうる問題を大体回避できれば、あとは教育コストが少ない収穫の作業や出荷調整のみになる。
教育コストが少なければ、人員の確保は簡単なわけで、実際に収穫要員の募集の話題はよく見かける。
よく見かけるにも関わらず、農業を取り巻く情勢があまり変わっていないのは、農業の衰退は収穫に関する労働力の不足ではなかったのだろうなと。
緑肥を綺麗に育てるのは、作物を綺麗に育てる技術を要し、そのような人は栽培の工程の中で重要な人員であることが多いので、収穫の要員よりも人集めが難しい。
堆肥なり、緑肥の栽培支援の仕組みがあれば、農業の問題は一気に解決するのだろうなと。