前回のトマトの花落ちを器官離脱と捉えれば見えてくるものがあるかもしれないの記事で、トマトの施設栽培について見始める事にするという旨を記載した。

施設栽培で最初に目を付ける箇所として、花落ちの現象を選んだ。



花落ちは茎から発生した花の器官の根元で、



上の写真のような離層が形成して、安全に花の器官を落とす現象を指す。

離層は興味深くて、最初に葉や花の器官から養分を転流し、維管束を封じ、茎と葉や花の器官の付け根にカルスのような堅い細胞を形成し、菌が株内に侵入できるような穴が亡くなった時点で、



茎と葉や花の器官との結合を弱めて、器官を落とすという流れとなる。


離層の形成は植物ホルモンのアブシジン酸の濃度の上昇が主で、離層箇所にオーキシンを添加すると、離層の形成は抑制される。




花落ちは高温等の環境ストレスで発生する事が多いが、窒素系の肥料をたくさん与えても発生すると言われている。

ここでふと頭に浮かんだのが、亜鉛とマンガンの軽微の欠乏症だった。


最初に亜鉛から触れると、亜鉛欠乏と植物のオートファジーの記事で触れた内容になるが、養分転流のトリガーが亜鉛の欠乏に因るもので、亜鉛という超重要な金属を他の組織で使用したい場合に養分転流が開始する。

亜鉛を大量に用いる組織で連想すると、真っ先に花を思い浮かべ、環境ストレス時に花ではなく、他の組織に亜鉛を運んでおく必要があるため、花から新芽に亜鉛を流し、花を落とす。

花から亜鉛を受け取った新芽は、亜鉛を元に環境ストレス耐性用の物質を合成する。

ヘアリーベッチ米栽培という取り組みで思うこと


次にマンガンだけれども、この要素に触れる為にはトマトの苗の定植から触れる必要があるので、今回はマンガンに触れずに話もここまでにしておく。


余談だけれども、ハウス内の高温時はトマトは葉の気孔を閉じて、株内の水分が蒸散されないことを防ぐためにアブシジン酸の上昇をさせるのだろうけれども、気孔を閉じる為には確か活性酸素の発生が必要で、活性酸素の鎮静もセットでなければならないはず。

活性酸素の鎮静には鉄やマンガンが関与する。

鉄と上手なお付き合い


高温の要因である夏場の強い光でも活性酸素が大量に発生しやすい。

遥か昔に植物が上陸にあたって獲得した過剰な受光対策


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