カテゴリー : 植物栄養

ブログ内検索
 

二価鉄を求めて-後編

二価鉄を求めて-前編-で鉱泉から含鉄(Ⅱ)の水質は山の岩石に因ることがわかるという内容を記載した。 山の岩石という内容で挙げておきたいのが、 かんらん石、輝石や角閃石といった有色鉱物だろう。 これらの鉱物には鉄やマグネシウムを含むだけでなく、 他の様々な微量要素を含む鉱物もある。 その中でも更に取り上げたいのが、 かんらん石だ。 かんらん石といえば、今まで苦土とケイ酸の話題として挙げた。 栽培にとっての苦土の基のかんらん石 植物はどのようにしてシリカを吸...

Read More…

 

二価鉄を求めて-前編

重要だけど扱いにくいものでもある二価鉄 前回までの記事までで、 植物の光合成では多量な二価鉄を必要としていて、 植物は二価鉄を得る為に光合成産物の一部を使用して調達する ということを記載した。 二価鉄は過剰症になりやすい ということも記載した。 二価鉄と言えば思い出すのが、 岐阜県の飛騨小坂にある巌立峡(がんだてきょう)だろう。 飛騨小坂の巌立峡 巌立峡とは火山の噴火により形成された溶岩流が川の風化作用によって削られてできた渓谷で、 現在も溶岩流...

Read More…

 

重要だけど扱いにくいものでもある二価鉄

光合成の明反応-後編までの記事で 植物は太陽光を受光することで光合成を行うわけだけれども、 その光合成という反応において最も注目されているのが電子の移動であって、 その電子の移動には多くの鉄(特に二価鉄)が必要とされることがわかった。 ※実際には鉄を含むタンパク質 鉄はFe2+とFe3+の状態をとり、 二価鉄は前者のFe2+の方を指す。 プラスが一つ少ない、つまりは電子e-が一つ多い。 鉄は電子を受け取りやすく離しやすいという特徴があるため、 鉄は電子の運搬に関わる。 ...

Read More…

 

光合成の明反応-後編

光合成の明反応-前編 前回、光合成の明反応の詳細を見て、 水から電子を取り出して、その電子の動きを見つつ、 各所で動いている物質のことを見た。 とはいっても、 すべてを見たわけではないので、 今回は残りを見ていく。 はじめに図の中央にあるシトクロムb6fを見ると、 この個所はシトクロムがたくさんある場所で、 シトクロムというのは、 酸化還元機能を持つヘム鉄を含有するヘムタンパク質である。 シトクロム - Wikipedia ヘムは By NE...

Read More…

 

光合成の明反応-前編

先日の畑作を続けることは難しいという記事の前編と後編で、 畑作を続けることで起こりうる秀品率の低下を光合成の生産量の低下と免疫の低下の2つの要素に分け、 後者の免疫(防御も含む)の方を触れた。 免疫や防御は芳香族のアミノ酸が重要な要素になっていて、 芳香族のアミノ酸を活用する為にいくつかの金属酵素を挙げた。 この時挙げた金属酵素は、 あまりに微量なため、施肥時に気にすることはないけれども、 土壌にある量は地質に大きく依存しているため、 場所によってはやくになくなるのでは?...

Read More…

 

畑作を続けることは難しい-後編

畑作を続けることは難しい-前編で土の良さに気を付けていても、 畑作を続ける限り、秀品率が落ち続けることがある ということを記載した。 秀品率が落ちたと感じる要因は何だろうか? 収穫までの期間が長くなったとか、 防除に入らなければならない回数が増えたとか。 収穫までの期間が長くなるというのは光合成が落ちることによるので、 光合成に関する要素が減ったことになる。 光合成についてはそのうち触れることにするので、 今回はこれ以上触れない。 後者の防除の入る回数が増えた...

Read More…

 

目に見えない銅欠乏

いろんなところにいってもやっと思い始めることがある。 それは虫による食害や病気の発生というものが銅欠乏の指標ではないか?と 食害や病気が全くないというわけではなく、 年々、これらの症状が目立ってくることが銅欠乏ではないか?と なぜそう思ったか? はじめに 植物にとっての銅は防御の要であるリグニンの合成に関わっている。 銅を中心にして、リグニンを廻る植物とキノコたちの活動 続いて、 良い土壌の要因となる腐植の蓄積にも銅が関わっている。 良い土壌では発根が顕著...

Read More…

 

畑作を続けることは難しい-前編

施肥設計の見直しで農薬防除の回数は確実に減らせるで紹介した施肥方法をされているほ場で、 ネギの連作をし続けたところ、 極度な連作であればやはり徐々に調子が悪くなっていく。 話を聞くに、 調子が悪くなったからということで途中で緑肥をかましても、 調子が戻るということはなさそうだ。 これは土を理解する上で大きなチャンスだということで、 現状を考察してみる。 施肥設計の見直しで一番改善したい個所というのは、 作物の発根量の向上で、 発根量の向上は土壌...

Read More…

 

銅を中心にして、リグニンを廻る植物とキノコたちの活動

廃菌床という資材のこと 最近、廃菌床の話題がちょくちょく挙がり、 廃菌床のことをまとめる機会が増えた。 廃菌床というのはキノコ栽培で使用された培地のことで、 キノコがある一定以上生えて収穫された後に廃棄されたもの。 キノコというのは、作物栽培の堆肥として非常に有用な木質系の成分の終盤の分解者にあたり、 キノコがしっかりと生えきったものであれば、 堆肥として利用すれば土に障害なく有効な形で作用してくれる代物だ。 成分をまとめたりといろいろしていたらふと頭に浮かんだこ...

Read More…

 

元素118の新知識から金属酵素の働きを知る

星屑から生まれた世界 - 株式会社 化学同人 38ページより引用 I-W系列と各微量要素 I-W系列を知ってから、微量要素についてのイメージがより鮮明となって、 各種金属酵素の働きを理解したい欲求が増えてきた。 まとまっている本はないか?と本屋で様々な生理学系の本を探してみたけれども見つからず… そんな中、 仕事用の本棚の整理をしていた時にふと目に付いた。 講談社ブルーバックスの元素118の新知識という本。 元素118の新知識|ブルーバックス|講談社BOO...

Read More…

 

蛇紋岩とニッケル

最近、再び蛇紋岩の話題が挙がる。 (玄武洞ミュージアムで撮影) 蛇紋岩で出来た山が近くにある田んぼ 蛇紋岩があるところといえば超苦鉄質岩に区分され、 読んで字のごとく苦土(マグネシウム)と鉄を多く含んでいる。 蛇紋岩地植物群 葉緑素の合成で苦土と同じぐらい大事なものは? 苦土と鉄を多く含んでいるということは、 栽培で大事な要素をふんだんに含んでいるのでとても良いじゃないか! ということになるけれども、 土壌の専門家は蛇紋岩の地質を良くは思わないらしい。 ...

Read More…

 

亜鉛を含む農薬の作用をI-W系列から考えてみる

先日、マンゼブという農薬の成分の話題になった。 マンゼブというのは、 マンゼブ Ⅰ.評価対象農薬の概要 - 環境省より引用 分子式が(C4H6MnN2S4)xZnyで表されるマンガン(Mn)、硫黄(S)と亜鉛(Zn)を含んだ化合物である。 分子式をざっくりと見たところ、亜鉛(Zn)が遊離してイオン化しやすいだろうと予想している。 作用機構を見ると、 ジチオカーバメート系の殺菌剤であり、SH酵素や金属酵素を阻害することにより殺菌活性を有すると考えられている。 ...

Read More…

 

イチゴの果実の着色を担う物質は何か?

渋谷農園さんのイチゴ、京の雫 色鮮やかなイチゴを頂いたので、 カットして断面を見てみたら、 果実の中身も鮮やかな紅色であった。 美味しさと色合いが気になったので、紅色に染まる現象についてを調べたくなった。 早速調べてみると、 イチゴの紅色はアントシアニンの蓄積らしい。 アントシアニンといえば紅葉や低温時の葉の変色の時と同じものだけれども、 そもそもの話でアントシアニンは葉に蓄積する色素の総称だ。 高野川が紅に染まりはじめる 寒空の下で盛り上がるカタバミ...

Read More…

 

イネがシリカを吸収すると

台風時のイネの倒伏の話題からはじまったシリカの話。 シリカ ≒ 二酸化ケイ素と捉えると、粘性の高いマグマ由来の火成岩を主の地質とする地域でイネの品質が高くなるはずだけど、そうではない。 というわけで、 前回までは植物にとって吸収しやすいシリカとは?という焦点で話を進めてきた。 植物はどのようにしてシリカを吸収するか? 吸収の有無はなんとなく書いてきたけれども、 根本の話でシリカがイネの倒伏防止に有効なのか? という話題には触れていないため、 今回はシリカの効能について...

Read More…

 

葉物野菜は寒さに触れて甘くなる

先日の降雪で珍しく、今住んでいるところでも雪が積もった。 雪が積もったと言えば、 寒さにあたった葉物野菜は甘くなるという話がある。 寒さに当たると葉内の水分が凍結しないように糖を溜め込んで 葉内水分の濃度を高め、凍結しないようにする。 この話を聞くと、小学校の時の水を凍らす実験を思い出す。 うちの班は何かの不手際で水に食塩を入れてしまったらしく、 その後、水を0度にするけれども一向に固まらずに困ったという話がある。 水が0度で凍るのは水がピュアの時であって、 ...

Read More…

 

個々のアミノ酸は植物にどのような効果をもたらすのか?

昨年末からの課題の一つで、 アミノ酸には、プロリンやグルタミンといった様々な種類があるけれども、 それらが植物にどのように作用しているか調べて話して欲しい というものがある。 生化学を勉強した者であれば、 アミノ酸のそれぞれの構造、 有機態窒素とは何ですか? ここでいうR(側鎖)の箇所に入るものが何か?によって、 アミノ酸同士が結合して、タンパクになった時の折りたたみの規則に貢献する。 という認識になるだろう。 ※RにH(水素)が入った場合はグリシンという糖原...

Read More…

 

植物は銅を何に活用するか?

銅の機能を活かした農薬、ボルドー液で(おそらく)胆礬と石灰岩を燃焼させたものでボルドー液という農薬を作成したことを記載した。 で、今回はボルドー液の機能を記載しようと思ったがその前に 植物にとって銅は微量要素の肥料成分として捉えられているので、 植物体内で銅がどのような働きをするのか?を見てみたい。 JAの営農のハンドブックを開いてみると、銅(Cu)は下記のように記載されていた おもな吸収形態:Cu+、Cu2+ おもな生理作用: 1. チトクロームa、アスコルビン酸酸化酵素...

Read More…

 

植物はいつプロリンを合成するのか?

ハチは糖原性アミノ酸のプロリンを持って遠くへ行けるで、 スズメバチは糖原性アミノ酸であるプロリンを自身の体に蓄積することで、 その後に摂取せずとも長い時間活動できる という内容を記載した。 スズメバチを例にして、プロリンの蓄積の話を記載したけど、 プロリンの特性を考えるとおそらく他の昆虫でも同様のことが言えるはず。 植物側の視点で見ると、 根から吸収した硝酸態窒素は光合成の作用により何度か還元され、 他の光合成の作用により合成された有機酸と結合することにより、 ...

Read More…

 

ハチは糖原性アミノ酸のプロリンを持って遠くへ行ける

どの本で読んだか忘れたけれど、 昆虫の生理生態系の本で下記のような文章があった。 ススメバチは翅の付け根あたりにプロリンを蓄えると、 その後何も摂取しなくても10km近く飛翔することができると プロリンというのは プロリン - Wikipedia タンパク質の合成に使われるアミノ酸群の一種で、糖原性を持つ。 糖原性とはクエン酸回路関連で使用できるグルコースへと転換することができる特徴を持つもの。 糖原性アミノ酸 - Wikipedia 解糖系という反応 ク...

Read More…

 

トウモロコシの穂発芽

知人が菜園でトウモロコシの爆裂種(ポップコーン)を育てていて、昨日収穫していたんだけど、 カメムシやらカビなりで秀品率が低いと嘆いていた。 収穫した数本のうち、一本だけだけど、 穂に付いていた時点で発芽していたものがあった。 これは米で言うところの穂発芽に近いな。 穂発芽はタネの休眠性が低い品種において、 収穫前の多量の降雨によって発生するとされる。 確かに今年は雨が多かったけど、 収穫した数本の内、たった一本、しかも一箇所だけとなると、 これは休眠失敗...

Read More…