カテゴリー : 植物栄養

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基肥のリン酸が発根促進であるならば

前回の基肥のリン酸が発根促進である理由を考えてみるの記事で肥料成分のリン酸が発根を促進する理由を考えてみた。発根を促進すると考えられているイノシンが光合成産物であるブドウ糖をリン酸化した後にいくつか反応を経ることで合成されることだと当たりを付けて終了した。イノシンがイノシン酸という核酸からリン酸基が外れ、水酸基が付与されることで合成されるわけで、発根促進剤としてよく見聞きする核酸も有効である可能性が高い。ここで一つ頭に浮かんだ記事がある。それは、栽培と枯草菌の記事で、枯草...

 

ケイ酸苦土肥料から稲作を模索する

肥料の製造元と面識がないので、肥料名は控えるが、ケイ酸肥料で有名なものにケイ酸苦土というものがある。保証成分は苦土が25%近くと多量に含んでいる。ケイ酸肥料で他に有名なもので、珪藻土由来のケイ酸カルシウムというものがあるけれども、カルシウムはできれば入れたくないので、ケイ酸苦土の方が何かと有り難い。カルシウム過剰によるカルシウム欠乏前回の猛暑日が多い中で中干しの意義を再検討するの記事で稲作にケイ酸が良いという内容を記載したけれども、今までの記事からケイ酸を含んでいれば...

 

開花させることが前提のレンゲを栽培する時に注意すべきこと再び

維管束とオーキシンと発根までの記事を経て、開花させることが前提のレンゲを栽培する時に注意すべきことを見ることにしよう。エルドンさんによる写真ACからの写真稲作前のレンゲ栽培で意識したいこととして、ミツバチ等の昆虫が花蜜と一緒に花粉を持っていってしまうことを記載した。この記事中で稲作時の川水の入水でミネラルが入るかもということを記載したが、調べていく中で、整備された用水路からの入水ではミネラル(主に亜鉛)は期待できそうにないことがわかった。 ...

 

光合成の質を高める為に川からの恩恵を活用したい

前回の亜鉛欠乏と植物のオートファジーの記事で、植物のオートファジーのきっかけとして、再利用性の高い要素が欠乏した際に行われている事に触れ、亜鉛欠乏について触れた。亜鉛といえば、秀品率向上の新たな課題は亜鉛をどう加えるか?の記事で触れた通り、欠乏しやすい要素として扱われている。栽培で亜鉛を供給するにはどうすれば良いか?を考えてみると、肥料以外ですぐに思いつくのが、川の水を畑に入れること。この視点で検索してみたところ、河川から検出される全亜鉛の由来に関する研究 -河川...

 

師管の働きと圧流説

前回の植物体内でのシンクとソースの記事までで、サイトカイニンによる養分転流でシンク強度の増加から維管束の師管の話に移った。シンク - ソースと師管の話で養分を送り出す器官(上の図で葉)のソースと養分を受け取る器官(上の図で果実)のシンクがあった場合、ソースの方が養分濃度が濃く、いくらシンク強度を増強したとしても、相対的にシンクの方が濃度が薄くなるため、師管は想定通りに動いてくれないはず。この師管による養分転流はどのように考えられているのだろう?ということで整理してみることにした。...

 

レンゲ米の水田からイネの生長を考える

レンゲ米の水田に集まる昆虫たちまでの記事でも記載しているが、ほぼ毎日、レンゲ米の水田を様子を見ている。知人といえ人様の畑であるので厳密な観測ではなく、本当に様子見程度。レンゲ米の水田のことを知るために、周辺で田植えの前に土が悪いであろうなという箇所をいくつかピックアップしておいて、その水田の様子も合わせて見ている。おそらく施肥設計はほぼ一緒で、大きな違いはレンゲで土作りをしているかどうか※レンゲで土作りをしているので、土作りに用いた肥料に違いは生じるそんな中で最近顕著...

 

免疫の向上の要は亜鉛かもしれない

抗体こと免疫グロブリンの産生にとって何が重要か?までの記事で、免疫の向上に最重要な要素は亜鉛である可能性が非常に高いことがわかった。合わせて、免疫を高める為に出来ることは何だろう?の記事で触れた内容で、人体において慢性的に亜鉛が欠乏しているとのこと。亜鉛が豊富に含まれていそうな食材を連想すると、海産物と豆がふと頭に浮かぶが、それと同時に畑作を続けることは難しいと海洋では窒素、リン酸や鉄が不足しているらしいの記事も同時に頭に浮かんだ。作物栽培での亜鉛欠乏について再び確認してみよ...

 

肥料の選定に迷ったら開発の話を確認しよう

2つの葉面散布剤があり、どちらを利用すれば良いかわからないとする。例えば一つが、Fvasconcellos - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによるアミノレブリン酸というアミノ酸を主成分とするアミノ酸肥料がある。アミノレブリン酸 - Wikipeida(画像:5-アミノレブリン酸の農業利用に関する技術開発 Regulation of Plant Growth & Development Vol. 40, No. 1 22-29, 2005の28ページよ...

 

クエン酸による食味の向上は安易に用いて良いものか?の続き

クエン酸による食味の向上は安易に用いて良いものか?の記事で、クエン酸や酢酸の土壌への散布は根酸と同じような働きだと見立てて、土壌の鉱物からミネラル(肥料では微量要素と呼ばれる)の溶脱を起こし、養分を根に積極的に吸収しているはずだと記載した。ここで合わせて土壌の鉱物は有限ではなく、過酷な栽培を続けていると当然劣化するので、栽培時のクエン酸散布が食味の向上等に繋がるからといって安易に行って良いものだろうか?と問題提示した。ここでもう一点別の視点から話を続けてみる。畑の土の土壌鉱物...

 

クエン酸による食味の向上は安易に用いて良いものか?

栽培中の作物にクエン酸溶液を散布すると発根促進や食味の向上に効果があるのか?という話題になった。おそらく上記の効果はあるのだろうけれども、この話に関して懸念していることがあるのでそれも合わせて触れることにしよう。合わせて、最近時々見聞きするとある農法で話題に挙がる酢酸の散布も合わせてみていく事にしよう。先にクエン酸と酢酸の共通点に触れておくと、どちらもブドウ糖(グルコース)を代謝している時に出てくる低分子の有機酸だ。有機酸の中では比較的に酸度が強いものになる。クエ...

 

秀品率向上の新たな課題は亜鉛をどう加えるか?

バークの下の落ち葉たち先日、ミカンの木の下で白い綺麗な細根がどうやって出来るか?が話題になった。色々と試したこととその結果の話題が続いたが、ふと重要な事に気が付いた。発根促進の一例で、乳酸菌は植物の発根を促進するか?の記事で発根に関するオーキシンは亜鉛と一緒になって効果を発揮するという話題があった。この内容に従って、ミカンの木の下に視点を戻すと、オーキシンやそれ以外の有機酸の条件は満たしているけれども、亜鉛はどうなんだろう?と話題を振ってみると、微量要素も検知する土壌...

 

ナタネ油かすに含まれる脂肪酸は何か?

椰子の実の脂肪酸と菌根菌採油し終わった粕に実に含まれていた脂肪酸等が粕に残ったと仮定して、ヤシガラにはラウリン酸という菌根菌の増殖に関与した脂肪酸があったとする。野菜の美味しさとは何だろう?食味の向上上記の仮定がナタネ油かす、ダイズ油かすやゴマ油かすでも同様に言えるとしたら、これらの油かすの有機質肥料はヤシガラ同様に菌根菌の増殖に関与するのだろうか?上記の油粕に比較的中鎖の飽和脂肪酸があるか?このことを知りたいと検索をしたら、公益財団法人 日本油脂...

 

野菜の美味しさとは何だろう?亜鉛

食材中の亜鉛と聞くと、思い浮かぶのが、欠乏すると味覚障害になるだろう。生物学をかじったことがある人であればジンクフィンガーでタンパク質の合成に関わるというものもあるはず。先生に覚えておけと言われたジンクフィンガーを私はまだ忘れていませんどうやら味を感知する味蕾細胞というものは新陳代謝が活発で、短い期間で新しい味蕾細胞に入れ替わる為、亜鉛が不足すると味蕾細胞の生成に支障をきたし、味覚障害となるらしい。亜鉛 | ミネラル(無機質) | 栄養成分百科 | グリコ野菜の美味しさとは何だろ...

 

野菜の美味しさとは何だろう?カリウム

露地、ハウスに限らずカリウムが不足しているという症状を頻繁に見かける。不調の畑でカリウムの追肥を多めにしてみてはというだけで幾分問題が軽減されるのがその証拠。最初に疑えというぐらいカリウムは大事農学を学ぶ際によく言われることとしてカリウムは土壌や川から引いた水に豊富に含まれているから欠乏しにくいということがあるけれども、あそこの畑がカリ不足それはあくまで土を大切に労った方の畑での話のはずで、感と経験の名の元に隣の畑が良かったからうちもそれをするの方針では、おそ...

 

野菜の美味しさとは何だろう?ポリアミン

HiCさんによる写真ACからの写真前回の野菜の美味しさとは何だろう?オルニチンの記事で、だだちゃ豆に豊富に含まれている旨味成分であるオルニチンについて触れた。前回の内容でのオルニチンは、有害なアンモニアを尿素回路を経て、害が少ない尿素へと変わる反応の際に利用されることを見た。今回は植物体内で他にないか?ということで追加で検索してみた際に見つけた内容を紹介する。草野 友延 植物におけるポリアミン研究の現状 Regulation of Plant Gr...

 

野菜の美味しさとは何だろう?オルニチン

HiCさんによる写真ACからの写真前回の野菜の美味しさとは何だろう?GABAのことの記事で、美味しい枝豆ことだだちゃ豆の特徴の一つにGABAの多さがあった。他に目立った特徴として旨味の成分であるオルニチンも多かった。By NEUROtiker - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Linkオルニチンといえば、ガイムさんによる写真ACからの写真シジミに多く含まれる旨味成分ということで有名だ。人がオルニチンを摂取すると...

 

野菜の美味しさとは何だろう?

随分前の話で写真がないので、文章のみになってしまうのだが、栽培の師の畑で魔法のような現象を見た。栽培の中心にはいつも化学農薬を使用しないで栽培していた師の畑で最も環境が良かった土壌で、夏に畝を立て、ダイコンのタネを直播して栽培を開始した。元肥は米ぬかボカシ肥のみだった。米ぬかボカシを作ろう!仕込んでみる!他の畑と比較して、はやい成長ですぐに間引き菜としての収穫を開始した。間引きが一通り終わった後、嫌気性米ぬかボカシ肥を一回追肥として与え、そのまま成長を見守る。ダイコ...

 

シデロフォアから見る鉄不足に陥るところ

先日の土壌微生物とケイ素の記事でシデロフォアについて触れたけれども、この時表記したリンク先にとある文章があった。その文章を抜粋すると、/****************************************************************/一般的に土壌中の鉄濃度は植物成長の要求量以上であるが、石灰質土壌の場合にはその高いpHにより鉄が不溶性の水酸化鉄となり、植物の鉄不足が現れる。/*********************************...

 

植物はカルシウムを使って体を丈夫にする

二酸化炭素濃縮後の有機酸は光合成以外でも使用されるか?植物の体が硬く直立するためには、各細胞毎に細胞壁と呼ばれる構造を持っていて、細胞壁はセルロース、ヘミセルロース、ペクチンとリグニンが必要とされる。リグニン合成と関与する多くの金属たちセルロースというのは、光合成産物であるグルコースがβ1-6結合と呼ばれる方法で繋がった多糖となる。糖の万能性ヘミセルロースというのは、セルロースと異なり、ヘミセルロースという名前の物質はなく、キシログルカン、キシラン、グルカンやマンナンと...

 

乳酸菌は植物の発根を促進するか?

昨日、これ読んどいてと渡されたとある学会から発行された読み物を読んでいたところ、乳酸菌が合成するL-β-フェニル乳酸が作物の発根を促進するという内容が記載されていた。フェニル乳酸という名前から表現が正しいか?は自身はないが、By Bryan Derksen - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Linkベンゼン - Wikipedia芳香族(ベンゼン環を持つ)の乳酸ということになるだろうか?防御の基礎は芳香族のアミノ酸にありみんな大好...

 

二価鉄を求めて-後編

二価鉄を求めて-前編-で鉱泉から含鉄(Ⅱ)の水質は山の岩石に因ることがわかるという内容を記載した。山の岩石という内容で挙げておきたいのが、かんらん石、輝石や角閃石といった有色鉱物だろう。これらの鉱物には鉄やマグネシウムを含むだけでなく、他の様々な微量要素を含む鉱物もある。その中でも更に取り上げたいのが、かんらん石だ。かんらん石といえば、今まで苦土とケイ酸の話題として挙げた。栽培にとっての苦土の基のかんらん石植物はどのようにしてシリカを吸...

 

二価鉄を求めて-前編

重要だけど扱いにくいものでもある二価鉄前回までの記事までで、植物の光合成では多量な二価鉄を必要としていて、植物は二価鉄を得る為に光合成産物の一部を使用して調達するということを記載した。二価鉄は過剰症になりやすいということも記載した。二価鉄と言えば思い出すのが、岐阜県の飛騨小坂にある巌立峡(がんだてきょう)だろう。飛騨小坂の巌立峡巌立峡とは火山の噴火により形成された溶岩流が川の風化作用によって削られてできた渓谷で、現在も溶岩流...

 

重要だけど扱いにくいものでもある二価鉄

光合成の明反応-後編までの記事で植物は太陽光を受光することで光合成を行うわけだけれども、その光合成という反応において最も注目されているのが電子の移動であって、その電子の移動には多くの鉄(特に二価鉄)が必要とされることがわかった。※実際には鉄を含むタンパク質鉄はFe2+とFe3+の状態をとり、二価鉄は前者のFe2+の方を指す。プラスが一つ少ない、つまりは電子e-が一つ多い。鉄は電子を受け取りやすく離しやすいという特徴があるため、鉄は電子の運搬に関わる。 ...

 

光合成の明反応-後編

光合成の明反応-前編前回、光合成の明反応の詳細を見て、水から電子を取り出して、その電子の動きを見つつ、各所で動いている物質のことを見た。とはいっても、すべてを見たわけではないので、今回は残りを見ていく。はじめに図の中央にあるシトクロムb6fを見ると、この個所はシトクロムがたくさんある場所で、シトクロムというのは、酸化還元機能を持つヘム鉄を含有するヘムタンパク質である。シトクロム - WikipediaヘムはBy NEUROtiker - 投稿者自身による作...

 

光合成の明反応-前編

先日の畑作を続けることは難しいという記事の前編と後編で、畑作を続けることで起こりうる秀品率の低下を光合成の生産量の低下と免疫の低下の2つの要素に分け、後者の免疫(防御も含む)の方を触れた。免疫や防御は芳香族のアミノ酸が重要な要素になっていて、芳香族のアミノ酸を活用する為にいくつかの金属酵素を挙げた。この時挙げた金属酵素は、あまりに微量なため、施肥時に気にすることはないけれども、土壌にある量は地質に大きく依存しているため、場所によってはやくになくなるのでは?ということを記載し...

 

畑作を続けることは難しい-後編

畑作を続けることは難しい-前編で土の良さに気を付けていても、畑作を続ける限り、秀品率が落ち続けることがあるということを記載した。秀品率が落ちたと感じる要因は何だろうか?収穫までの期間が長くなったとか、防除に入らなければならない回数が増えたとか。収穫までの期間が長くなるというのは光合成が落ちることによるので、光合成に関する要素が減ったことになる。光合成についてはそのうち触れることにするので、今回はこれ以上触れない。後者の防除の入る回数が増えた...

 

目に見えない銅欠乏

いろんなところにいってもやっと思い始めることがある。それは虫による食害や病気の発生というものが銅欠乏の指標ではないか?と食害や病気が全くないというわけではなく、年々、これらの症状が目立ってくることが銅欠乏ではないか?となぜそう思ったか?はじめに植物にとっての銅は防御の要であるリグニンの合成に関わっている。銅を中心にして、リグニンを廻る植物とキノコたちの活動続いて、良い土壌の要因となる腐植の蓄積にも銅が関わっている。良い土壌では発根が顕著...

 

畑作を続けることは難しい-前編

施肥設計の見直しで農薬防除の回数は確実に減らせるで紹介した施肥方法をされているほ場で、ネギの連作をし続けたところ、極度な連作であればやはり徐々に調子が悪くなっていく。話を聞くに、調子が悪くなったからということで途中で緑肥をかましても、調子が戻るということはなさそうだ。これは土を理解する上で大きなチャンスだということで、現状を考察してみる。施肥設計の見直しで一番改善したい個所というのは、作物の発根量の向上で、発根量の向上は土壌...

 

銅を中心にして、リグニンを廻る植物とキノコたちの活動

廃菌床という資材のこと最近、廃菌床の話題がちょくちょく挙がり、廃菌床のことをまとめる機会が増えた。廃菌床というのはキノコ栽培で使用された培地のことで、キノコがある一定以上生えて収穫された後に廃棄されたもの。キノコというのは、作物栽培の堆肥として非常に有用な木質系の成分の終盤の分解者にあたり、キノコがしっかりと生えきったものであれば、堆肥として利用すれば土に障害なく有効な形で作用してくれる代物だ。成分をまとめたりといろいろしていたらふと頭に浮かんだこ...

 

元素118の新知識から金属酵素の働きを知る

星屑から生まれた世界 - 株式会社 化学同人 38ページより引用I-W系列と各微量要素I-W系列を知ってから、微量要素についてのイメージがより鮮明となって、各種金属酵素の働きを理解したい欲求が増えてきた。まとまっている本はないか?と本屋で様々な生理学系の本を探してみたけれども見つからず…そんな中、仕事用の本棚の整理をしていた時にふと目に付いた。講談社ブルーバックスの元素118の新知識という本。元素118の新知識|ブルーバックス|講談社BOO...

 

蛇紋岩とニッケル

最近、再び蛇紋岩の話題が挙がる。(玄武洞ミュージアムで撮影)蛇紋岩で出来た山が近くにある田んぼ蛇紋岩があるところといえば超苦鉄質岩に区分され、読んで字のごとく苦土(マグネシウム)と鉄を多く含んでいる。蛇紋岩地植物群葉緑素の合成で苦土と同じぐらい大事なものは?苦土と鉄を多く含んでいるということは、栽培で大事な要素をふんだんに含んでいるのでとても良いじゃないか!ということになるけれども、土壌の専門家は蛇紋岩の地質を良くは思わないらしい。...

 

亜鉛を含む農薬の作用をI-W系列から考えてみる

先日、マンゼブという農薬の成分の話題になった。マンゼブというのは、マンゼブ Ⅰ.評価対象農薬の概要 - 環境省より引用分子式が(C4H6MnN2S4)xZnyで表されるマンガン(Mn)、硫黄(S)と亜鉛(Zn)を含んだ化合物である。分子式をざっくりと見たところ、亜鉛(Zn)が遊離してイオン化しやすいだろうと予想している。作用機構を見ると、ジチオカーバメート系の殺菌剤であり、SH酵素や金属酵素を阻害することにより殺菌活性を有すると考えられている。金属酵素といえば、星...

 

イチゴの果実の着色を担う物質は何か?

渋谷農園さんのイチゴ、京の雫色鮮やかなイチゴを頂いたので、カットして断面を見てみたら、果実の中身も鮮やかな紅色であった。美味しさと色合いが気になったので、紅色に染まる現象についてを調べたくなった。早速調べてみると、イチゴの紅色はアントシアニンの蓄積らしい。アントシアニンといえば紅葉や低温時の葉の変色の時と同じものだけれども、そもそもの話でアントシアニンは葉に蓄積する色素の総称だ。高野川が紅に染まりはじめる寒空の下で盛り上がるカタバミ...

 

イネがシリカを吸収すると

台風時のイネの倒伏の話題からはじまったシリカの話。シリカ ≒ 二酸化ケイ素と捉えると、粘性の高いマグマ由来の火成岩を主の地質とする地域でイネの品質が高くなるはずだけど、そうではない。というわけで、前回までは植物にとって吸収しやすいシリカとは?という焦点で話を進めてきた。植物はどのようにしてシリカを吸収するか?吸収の有無はなんとなく書いてきたけれども、根本の話でシリカがイネの倒伏防止に有効なのか?という話題には触れていないため、今回はシリカの効能について調べてみるこ...

 

葉物野菜は寒さに触れて甘くなる

先日の降雪で珍しく、今住んでいるところでも雪が積もった。雪が積もったと言えば、寒さにあたった葉物野菜は甘くなるという話がある。寒さに当たると葉内の水分が凍結しないように糖を溜め込んで葉内水分の濃度を高め、凍結しないようにする。この話を聞くと、小学校の時の水を凍らす実験を思い出す。うちの班は何かの不手際で水に食塩を入れてしまったらしく、その後、水を0度にするけれども一向に固まらずに困ったという話がある。水が0度で凍るのは水がピュアの時であって、 ...

 

個々のアミノ酸は植物にどのような効果をもたらすのか?

昨年末からの課題の一つで、アミノ酸には、プロリンやグルタミンといった様々な種類があるけれども、それらが植物にどのように作用しているか調べて話して欲しいというものがある。生化学を勉強した者であれば、アミノ酸のそれぞれの構造、有機態窒素とは何ですか?ここでいうR(側鎖)の箇所に入るものが何か?によって、アミノ酸同士が結合して、タンパクになった時の折りたたみの規則に貢献する。という認識になるだろう。※RにH(水素)が入った場合はグリシンという糖原...

 

植物は銅を何に活用するか?

銅の機能を活かした農薬、ボルドー液で(おそらく)胆礬と石灰岩を燃焼させたものでボルドー液という農薬を作成したことを記載した。で、今回はボルドー液の機能を記載しようと思ったがその前に植物にとって銅は微量要素の肥料成分として捉えられているので、植物体内で銅がどのような働きをするのか?を見てみたい。JAの営農のハンドブックを開いてみると、銅(Cu)は下記のように記載されていたおもな吸収形態:Cu+、Cu2+おもな生理作用:1. チトクロームa、アスコルビン酸酸化酵素...

 

植物はいつプロリンを合成するのか?

ハチは糖原性アミノ酸のプロリンを持って遠くへ行けるで、スズメバチは糖原性アミノ酸であるプロリンを自身の体に蓄積することで、その後に摂取せずとも長い時間活動できるという内容を記載した。スズメバチを例にして、プロリンの蓄積の話を記載したけど、プロリンの特性を考えるとおそらく他の昆虫でも同様のことが言えるはず。植物側の視点で見ると、根から吸収した硝酸態窒素は光合成の作用により何度か還元され、他の光合成の作用により合成された有機酸と結合することにより、...

 

ハチは糖原性アミノ酸のプロリンを持って遠くへ行ける

どの本で読んだか忘れたけれど、昆虫の生理生態系の本で下記のような文章があった。ススメバチは翅の付け根あたりにプロリンを蓄えると、その後何も摂取しなくても10km近く飛翔することができるとプロリンというのはプロリン - Wikipediaタンパク質の合成に使われるアミノ酸群の一種で、糖原性を持つ。糖原性とはクエン酸回路関連で使用できるグルコースへと転換することができる特徴を持つもの。糖原性アミノ酸 - Wikipedia解糖系という反応クエン酸回路で電子をたくさん得る...

 

トウモロコシの穂発芽

知人が菜園でトウモロコシの爆裂種(ポップコーン)を育てていて、昨日収穫していたんだけど、カメムシやらカビなりで秀品率が低いと嘆いていた。収穫した数本のうち、一本だけだけど、穂に付いていた時点で発芽していたものがあった。これは米で言うところの穂発芽に近いな。穂発芽はタネの休眠性が低い品種において、収穫前の多量の降雨によって発生するとされる。確かに今年は雨が多かったけど、収穫した数本の内、たった一本、しかも一箇所だけとなると、これは休眠失敗...

 

葉面散布と尿素

大雨が続きますねで大雨のことを書いた。雷雨時の窒素固定?の前に話は大きく変わるけど葉面散布について書いておきたい。葉面散布とは作物の栽培時に、肥料成分を溶かした溶液を葉に対して散布して、葉から養分を吸収させる仕組みである。つまりは葉からも何らかの養分を吸収できる仕組みがあることになる。散布の際の肥料の濃度は世間でノウハウがかなり溜まっているから、そのノウハウに従うということでここでは一切触れません。ここで触れたい内容は葉からの吸収に関することで、葉面散布の際に一緒に使...

 

茄子の糠漬けで鮮やかな色を残すことを考える

前回のナスの漬物で残したい色素のことがわかった上で、ナスの糠漬けに話を戻したい。茄子の糠漬けで鮮やかな色の基は何か?質問者に糠漬けの構成を聞いてみたところ、下記の返答があった。糠以外は焼ミョウバン、第一酸化鉄、昆布、鷹の爪をいれております。丸まま調味液漬やカットの調味液漬は良い色ばかりです。論文にある構成は含んでいるね。これらを踏まえた上で、質問にあった着色が悪い茄子の漬物を見ておくと、こんな感じ。とりあえず今の話をまとめておく...

 

栽培開始前に土壌に十分量の鉄が入っているか?

九条ねぎの京都知七さんで連作障害の話をしましたで酸化還元酵素の話が頻繁に出てきたので、必然的に鉄のことを多く触れることになり、質問でも当然鉄のことが挙がる。鉄は鉱物にたくさん含まれているとはいえ、無茶な連作では鉄欠乏が見られるようになる。※特に水田で作物と鉄まとめどんな質問かといえば、普段の施肥設計では十分量の鉄が含まれているのか?というもの。ここでは量は控えるけど、注目の資材、ベントナイトについて知ろう基肥としてベ...

 

ソテツは蘇る鉄と書いて蘇鉄

昨日のNHKのブラタモリで奄美大島を紹介していた。そこで大島紬の泥染めという落ち着いた深く薄い黒の染め物の染め方を紹介していた。ブラタモリ - NHKこの染め物はテーチ木(車輪梅)から抽出したタンニン酸と(キャプチャはNHK_PR |NHKオンラインから作成しました)泥田にある酸化されていない鉄が反応した時に深みのある黒色に化学反応を起こす。染め物で鉄を利用すると当然、泥田の鉄は消費されるわけで年々減っていく。そこで歴史的に行われている対応として、...

 

サツマイモを切ったら、規則正しい褐色の点

サツマイモを切ったら、維管束に合わせて褐色になってた。う〜ん病気でなく木化しているように見えるんだよな。導管の細胞は成長に従って、機能だけ残して核はなくなるらしいし、ストレスでこうなったのかな?こうなったサツマイモをゆでて食べると、パサパサしていて苦いし…何らかの要素が欠乏していたことによるストレスかな?ホウ素という栽培に潜む罠

 

カルシウム過剰によるカルシウム欠乏

トマトの栽培でよく聞く尻腐れ病病気と書いているけど、カルシウム欠乏が原因みたいで、尻腐れが出た畑ではカルシウムを与えるようにと指導を受けることが多い。しかしだよ、カルシウムを与えてトマトの尻腐れが治まる方が少なく、大半は尻腐れが悪化する。悪化するにも関わらず、この手の指導が行われ続けているのは、背景にリービッヒの最小律の考え方があるからだろう。リービッヒの無機栄養説現代の栽培において、栽培をははじめる前に石灰でpHを調整しておく。安価な鶏糞が至るところに入っている...

 

リービッヒの無機栄養説

農業史、肥料を扱うにあたって忘れてはならないのが、ユストゥス・フォン・リービッヒと彼が提唱した無機栄養説だろう。ユストゥス・フォン・リービッヒ - Wikipediaリービッヒは化学者であらゆる植物の栄養源は腐植のような有機物ではなく、炭酸ガス、アンモニア(または硝酸)、水、リン酸、硫酸、ケイ酸、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどの無機物質であるという無機栄養説を唱えた。さらに最小律という植物の生長速度や収量は、必要とされる栄養素のうち、与えられた量のもっ...

 

揚げたニンジン、焼いたニンジンはなぜこんなにも甘いのだろう?

セレクトファームから破棄のニンジンをもらったので、ニンジンを短冊切りにして衣をつけて揚げてもらって食べた。甘い!ニンジンは破棄が出やすいので、前にバーベキューに持って行って短冊切りにして炭で焼いた時もとんでもなく甘かった。なぜ、揚げたり焼いたりするとこんなにも甘くなるのだろう?って食卓で話題に挙げたら、水分がとんで養分の濃度が上がったからじゃない?と返答がありました。夢がないなぁ〜なんかこうもっと、イネの様に中にある甘さの成分が...

 

果実内発芽から見える土の状態

これはカボチャの果実の断面だけど、普段のカボチャと違ってなんかおかしい。果実内のタネが発芽しているのね。この現象を果実内発芽といい、果実の生理障害の一つとして栽培上の大きな問題の一つである。そもそも、果実内ではなぜタネが発芽しないのか?というのがこの話の前にあって、本来果実の中では熟す過程の間にアブシジン酸というホルモンが合成され、タネがそのホルモンに触れることで休眠状態に入り発芽しなくなる。何らかの条件により果実内でアブシジン...

 

ヒルガオ科の強さに頼る

ヒルガオは強いヒルガオ(科)の草は強いということを記載した。周囲の背の高い植物に巻き付いて、すぐにてっぺんをとってしまう強さは半端ないものがあるだろう。そんなヒルガオ(科)の強さ、変化アサガオのタネを蒔きましたアサガオの様な園芸ではなく、作物として活用できないだろうか?アサガオはとある作物の品種改良のために、戦争前後で盛んに研究されていたらしい。そう!ヒルガオ科の作物といえば、サツマイモ。葉を見ると、ヒルガオ科っぽい。このサツマイ...


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