これはカボチャの果実の断面だけど、普段のカボチャと違ってなんかおかしい。



果実内のタネが発芽しているのね。


この現象を果実内発芽といい、果実の生理障害の一つとして栽培上の大きな問題の一つである。


そもそも、果実内ではなぜタネが発芽しないのか?というのがこの話の前にあって、本来果実の中では熟す過程の間にアブシジン酸というホルモンが合成され、タネがそのホルモンに触れることで休眠状態に入り発芽しなくなる。


何らかの条件により果実内でアブシジン酸が合成されないと、果実内のタネは休眠に入ることが出来ずに果実内で発芽してしまう。


果実はタネが休眠することによって、タネの周辺から果肉が熟して甘くなるので、この生理障害の果実はおいしくない。


今回の果実のタネが休眠状態に入っていないということで、タネ自体に違いがないか見比べてみると、



本来のカボチャのタネはこんな感じなのに対し、



果実内発芽した果実の中にあったタネは丸くて白い。




果実内発芽になる原因を調べてみたところ、下記の論文が見つかった。

メロンの果実内発芽と内生アブシジン酸含量に及ぼすカリウム施用の影響 - 園学研.(Hort. Res. (Japan)) 11 (1) : 43–48.2012.


タイトルの通り、研究対象はメロンで一応カボチャと同じウリ科の作物。


ざっくりとだけど、メロンの果実では栽培中に硝酸態窒素が多い、もしくはカリウムが少ないとタネの休眠を誘発するアブシジン酸の濃度が下がる傾向にあるという内容である。

※栽培試験は養液栽培で、品種によって果実内発芽が発生しにくいものがある


硝酸態窒素というのはおそらく硝酸塩のこと。

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硝酸は酸化剤として働くこともあるので、体内に高濃度で存在していたら、それなりの不都合もあるだろうな。

酸化剤としての硝酸態窒素


カリウムは根肥と言われるぐらい、根に多く含まれる成分

最初に疑えというぐらいカリウムは大事


根で浸透圧調整を行う他に、体内の様々な生理現象の調節も行うので、アブシジン酸合成にもカリウムは何かしらで関わっているのだろうな。




研究に関しては自身で行っていないので、話はここまでにしておいて、今回の内容を現実でどうにか役に立てないか考えてみる。



果実内発芽は硝酸態窒素が多いか、カリウムが少ないかによって誘発されるとする。

硝酸態窒素が急激に増えるのは人為的な施肥しかあり得ないので、施肥を気をつければ良いけど、カリウムの不足は注意したところで回避できるものではない。

カリウムの大半は一次鉱物が二次鉱物に風化される間に溶出されたものを吸収する。

可溶性ケイ酸にあるかもしれない底力

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川の水を常に入れ続ければ、風化前の鉱物が畑の土に入り込むこともあるけど、畑作を連作で何年も行うと、カリウムの供給源となる一次鉱物が自然に入り込むタイミングはほぼない。


今回言いたいことはまさにこれで、果実内発芽が少しでも誘発された土壌では、土壌の風化がかなり深刻化していることを疑えってこと。

あそこの畑がカリ不足


おそらく、カボチャが不調だから次作は軟弱葉物にしようだとか秋冬は見送って春作からイモにしようといってもうまくはいなかいだろう。

連作障害に立ち向かう、養分編


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