前回の免疫の向上にオリゴ糖や発酵食品が重要な訳を探るの記事で、腸内細菌叢において人の健康にとって悪影響を与えるとされるウェルシュ菌は腸管上皮細胞にある糖鎖の先端からシアル酸を切り取るシアルダーぜの作用によって毒性が増すという内容を記載した。


ここで気になることがある。

糖鎖とは細胞間の情報のやりとりで使われることもあるので、シアル酸が取り除かれた事によって、細胞間で行われていた何らかの情報のやりとりが遮断されてしまったのではないか?


ただ、糖鎖は情報のやりとり以外でも細胞接着やタンパクの構造を形作る上でも大事だと、機能が多岐に渡るので、もしかしたら腸内細菌叢の餌としての一面があるのかもしれない。


これらの疑問を解決すべく更に調べてみたら、2つ程興味深い読みものに行き着いたのでそれらを紹介する。




西村啓太 バイオミディア シアル酸をめぐる腸内での競争 生物工学 第96巻 第10号(2018)

上記の読み物の内容で注目すべきは三点


上記の読み物の内容とは順番が変わるが、

腸内細菌叢で宿主の健康に良い影響を与えると言われるビフィズス菌もシアル酸を資化出来る。

これは腸内細菌叢のバランスを整えたところで、腸管上皮細胞の糖鎖が腸内細菌にとって消費される事に変わりはない。

腸内細菌叢とビフィズス菌


ただしということで他の内容に触れると、

常在細菌叢を持つマウスへの抗生剤の投与は、細菌叢のバランス異常を招き、腸内での遊離シアル酸濃度が一過的に上昇したらしい。その結果、シアル酸異化経路をもつ病原細菌が増加し、感染の悪化を招く可能性が高くなるらしい。


おや?

腸内細菌叢で抗生剤に耐えうる細菌はシアリダーゼの活性が他の細菌に比べて活発なのか?

前回の記事でシアリダーゼによって獲得したシアル酸を身にまとい耐性を得るという細菌がいたので、シアル酸の消費量が多い細菌がいそうだ。


ここでもうひとつ気になることを挙げる。

マウスの腸内で細菌による炎症を誘発した状態で、シアリダーゼ阻害剤を投与したところ、腸炎が緩和されたとのこと。


ここから導き出せることとして、腸内細菌叢にとって宿主の健康に悪影響を与える細菌程、シアル酸の消費量が激しい可能性があるということ。


となると、先に腸内細菌叢でビフィズス菌を優勢にしておかないと、腸管上皮細胞の糖鎖の消費が激しくなり、本来の役割が何であるかは今の所わからないけれども、その役割をこなせない事になる。(役割はないかもしれない)


ビフィズス菌は多様な糖分解酵素を持つの記事で、ビフィズス菌は他の腸内細菌と異なり(?)様々な糖分解酵素を持つので、人体の健康においてオリゴ糖の摂取が重要になる。

免疫の向上には水溶性食物繊維が重要な役割を担っているはず


上記の読み物では、腸内細菌叢の恒常性の維持において、


Alice Wiegand, (Lyzzy) - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる


赤っぽい板海苔の材料となるアマノリ属の紅藻の多糖であるポルフィランを注目していた。

ポルフィラン - Wikipedia


日本人に特有の腸内細菌でポルフィランを資化できる細菌がいるらしい。


もう一つの気になる内容は次回の記事で


-続く-