名古屋大学出版会から出版されている糖鎖生物学 生命現象と糖鎖情報のコラムで興味深い話があったので紹介する。
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植物細胞壁に含まれる多糖は、ヒトが食物として野菜や果実を摂取した際に、ヒトの消化酵素による分解を受けず、小腸において栄養成分として吸収もされないため、消化管を通過して大腸まで到達する。(途中省略)このうち水溶性食物繊維に分類されるペクチンは、到達した大腸において腸内細菌に完全に資化され、特定の細菌群の増殖と活性化を促すプレバイオティクスとしてはたらいている他、小腸粘膜構造への影響や血漿コレステロール正常化作用、食物アレルギーの抑制作用、抗腫瘍活性などといったさまざまな機能性が報告されている。
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※上記の本の289ページより抜粋
ペクチンといえば、植物の体を構成するセルロース間を接着する多糖のこと。
以前、水溶性の食物繊維のペクチンは吸着能を持つの記事でペクチンの吸着能について触れたけれども、それ以外に小腸の形態の変化を促すことにも貢献しているらしい。
コレステロールの正常化は高血圧の予防に繋がるわけで、免疫の向上にはグルタチオンが重要な役割を担っているはずで触れた通り、高血圧による免疫細胞への影響を避けることにも繋がる。
ペクチンの内容を読んだ時に、
野菜の美味しさとは何だろう?の記事の内容が頭に浮かんだ。
この記事では米ぬか嫌気ボカシと当時流行っていた液肥で栽培比較をした時に、後者の方が筋っぽくなって食感が悪くなったという内容を記載した。
米ぬか嫌気ボカシを称賛するわけではなく、肥料によって筋っぽくなり食感が悪くなるという現象に着目して、筋っぽいというのはおそらく植物繊維において、セルロースやリグニンの含有量が多くなったことに因るもので、ペクチンの含有量は相対的に低くなっているはず。
ここで言いたいことは、同じ野菜を摂取するにしても、筋っぽくない食感の良い野菜の方が、おそらく健康効果が高いのだろうなということで、ストレスが少なく健康的に育った野菜の方がおそらく人の健康にとっても良いのだろうなということ。
自然免疫を高める食品は何か?の続きの記事でも触れた通り、牛糞で土作りをしてこだわり野菜と名乗っている方の畑で穫れた野菜には健康効果は期待できないことになる。