一見、順調そうに育っているイネで、
籾の表面が黒ずんでいるところが気になった。
比較対象として、黒ずんでいないところは
こんな感じ。
今年の8月中旬あたりに記録的な長雨で日照時間が短くなった事による冷害なのだろう。
観測している田の周辺でも同じぐらい黒ずんでいる箇所があった。
観測している田では物理性が向上していて、土表面がヒビ割れするような中干しをしていないが、周辺の田も同様に籾が黒ずんでいることから、中干しなしによる障害という線はほぼないだろう。
自然現象だから仕方のないことなのだろうけれども、来年以降も長雨の発生可能性は十分あり得るわけで、症状の緩和の技術は把握しておきたい。
緩和するためには冷害の詳細を知っておく必要があるので、調べてみることにした。
図説:東北の稲作と冷害《東北の冷害編》- 水稲冷害早期警戒システム- 農研機構によると、冷害には遅延型冷害、障害型冷害とこれらが組み合わさった混合型冷害があるらしい。
遅延型冷害は
定植初期に低温に当たることで活着に遅れが生じ、それが後々まで影響を与え、登熟期に影響を与える。
障害型冷害は、
出穂後の花粉形成時に低温に当たることで花器が障害を受け、籾の受粉、受精に影響を与えるもの。
イネは熱帯産の作物であるため、品種改良を進めたといえど、低温に弱いことは克服できていないと見て良い。
混合型の説明は不要だろう。
ここで気になったのが、受粉受精が失敗した不稔であった場合、
黒ずんではいるけれども、籾は膨らむだろうか?
表面が黒ずんでいるだけであれば、イチゴの果実形成で蓄積するアントシアニンに記載したような遮光の意味合いが強いかもしれない。
この時期の籾の緑は、少量にはなるだろうけれども光合成を行っているはずで、現在の日照量に見合わない光合成量であれば遮光して反応を抑える。
ここらの真偽を追求する為には冷害の詳細をもっと知る必要がある。
追記
穂いもちの可能性も疑っておく。
今年の長雨でいもちの発生のしやすさも増している