酸が金属を溶かすで酸で金属を溶かす話を書いたけど、栽培だと、どちらかというと酸が塩を溶かすという方を良く目にする。


く溶性肥料の肥効の仕組みでよく出てくる、クエン酸で炭酸塩を溶かすというもの

く溶性の使いどころ


酸をかければ、どんな塩(えん)でも溶けるか?と言えばそうでなく、

塩と書いて、「しお」と読みたいけどここでは「えん」で


弱酸由来の塩に対して、それよりも強酸を当てると反応する

酸の強さ




炭酸石灰を仕込んだ土壌に対して、根からシュウ酸が放出されたとする。

炭酸石灰は炭酸カルシウムなので、CaCO3で炭酸のpKaは6ぐらい。

炭酸 - Wikipedia


炭酸塩はなかなか水に溶けない塩となる。


続いて、シュウ酸はと言えば、(COOH)2でpKaは1ぐらいらしい。

シュウ酸 - Wikipedia


で、これらの物質が反応すると、

CaCO3 + (COOH)2 → (COO)Ca + H2CO3

H2CO3 ⇌ H2O + CO2

でシュウ酸カルシウム(COO)Caができる

シュウ酸カルシウム - Wikipedia


シュウ酸と言えば、スイバらへんの植物がたくさん放出するということを良く聞き、シュウ酸カルシウムが人体に蓄積するのもよろしくないというのをよく聞くよね。




栽培で用いる肥料の大半が塩(えん)である。


となると、塩を如何に効率良く使おうとすると、pKaは当然必要となってくるわけで、それが分からないと、無駄な施肥から抜け出せない様な気がしなくもない。


参考

植物の根から放出される代表的な有機酸

根から分泌される有機酸と土壌の相互作用 化学と生物Vol. 37, No. 7, 1999