不思議に思っていることがある。
マグネシウムは苦い土と書いて苦土(くど)と読む。
これはマグネシウムを舐めると苦いということが由来らしい。
海水塩から抽出できる苦汁(にがり)の主成分が塩化マグネシウムで、苦汁は文字通り苦いらしい。
苦味と言えば、人体にとってなるべく避けたい味のはずだけれども、
昨今の健康に関する情報ではマグネシウムの重要性を頻繁に見聞きする。
何故マグネシウムは苦いのだろう?
最初にマグネシウムが人体でどのように使用されているか?を知る為に、
厚生労働省からダウンロードできるPDFを読んでみると、
生体内のマグネシウムの50〜60%が骨に存在していて、それ以外は多種の酵素反応の補因子として利用されているとのこと。
学生の頃の実験で酵素を利用する時に時々併せて塩化マグネシウムを添加していた。
マグネシウムが欠乏すると、低カルシウム血症や痙攣が発生し、長期で欠乏すると骨粗鬆症や心疾患の生活習慣病のリスクを高めるとされている。
片山 直美 シリーズ教育講座「めまいと環境」3.めまいと栄養 Equilibrium Res Vol. 75(4) 163〜170,2016では、
めまいの回避として、めまいは脳の酸素不足が原因で、マグネシウムは血管を拡げて脳に酸素を送りやすくすると記載されていた。
かの名著の星屑から生まれた世界 - 株式会社 化学同人ではDNAを構成する核酸の間にマグネシウムが入り込んでいる記載がある。
※DNAを図示する際、ほとんどの場合はマグネシウムは省略される
ざっと挙げただけでも、マグネシウムは重要であるにも関わらず、何故人はマグネシウムを苦いと認識するのだろうか?
そういえば、便秘薬で主成分が酸化マグネシウムがあったな。
マグネシウム過剰になると排泄に関与する臓器の負担が増すのかな?
野菜の美味しさとは何だろう?カリウムの記事中で紹介した味覚に関する論文中に食塩に塩化マグネシウムを添加させると塩味と味の濃さが低下する傾向にあると記載されていた。
食塩で電解質塩よりも海水塩の方が味が複雑でまろやかさがあるという記述もよく見かける。
まろかやという表現はポジティブな意味合いで使用されているはずで、
まろやかさを超える程のマグネシウム由来の苦味があったら摂取を気をつけろ
ということなのだろうか?
野菜(特に葉物)を健康的であればある程、マグネシウムの存在感が増すはず。
これが野菜にどのような食味を与えるのか?
マグネシウムは野菜の食味の向上に関与していると信じるしかないな。
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