2年前に京都市内の某所で、発生してしまったら止めることの出来ないと考えられていた黒腐れ菌核病を肥料と農薬の組み合わせて侵攻を止めた話があった。
侵攻を止めた背景に黒腐れ菌核病の原因菌である糸状菌が低いpHで活発になるという情報があったため、生理的塩基性肥料を用いて土壌のpHを高めて原因菌を苦手な環境に追い込み、弱体化したところでペンチオピラドという殺菌剤を使用して伝染を止めた。
最近も有効成分がペンチオピラドの農薬の話題がちらほらと挙がるので、ペンチオピラドについて調べてみた。
検索してみたところ、新規殺菌剤「ペンチオピラド」の研究開発 日本農薬学会誌 38(2), 120 日本農薬学会誌 ‒129 (2013)という論文が見つかった。
先に分子構造を確認しておく。
論文の前半から中盤にかけて、ペンチオピラドの探索、合成と試験の話なので省略して、実際の作用点を読んでみると、
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ペンチオピラドの作用点はミトコンドリア電子伝達系Complex IIのコハク酸脱水素酵素(SDH)であり,コハク酸からユビキノンへの電子伝達を阻害することによって病原菌の呼吸阻害を引き起こす。
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新規殺菌剤「ペンチオピラド」の研究開発 日本農薬学会誌 38(2), 120 日本農薬学会誌 ‒129 (2013) 125ページより引用
と記載されていた。
ざっくりと書くと、有機酸のコハク酸からフマル酸へ代謝する際に電子を取り出して、NADに載せる反応があるけれども、
新規殺菌剤「ペンチオピラド」の研究開発 日本農薬学会誌 38(2), 120 日本農薬学会誌 ‒129 (2013) 127ページより引用
その反応をペンチオピラドが阻害することによって、NADは電子を載っけてNADHになることが出来ず、
結果として、生物にとって超重要なATPを合成することが出来ないことになる。
ペンチオピラドの作用点は以上になるけれども、農薬の開発を見てふと思うことがあったけれども、それは次回に書こうかなと。
-続く-