トビイロウンカは大陸から季節風にのってやってくるの記事で、稲作で厄介なトビイロウンカは大陸から季節風に乗ってやってくると記載した。
日本にやってきたウンカはイネの葉に産卵し、何世代か世代交代するが、日本の寒さでは越冬する事ができない。
トビイロウンカを含むウンカ類でイネの抵抗性の研究がないか?検索してみたところ、昆虫の加害によってイネに発現する誘導抵抗性 - 植物防疫 第64巻 第11号(2010 年)という報告があった。
内容は以前紹介したジャスモン酸や青葉アルデヒドがイネでも同様に働くというものであったが、青葉アルデヒドの方でウンカの種類によって発現量が異なるということも合わせて記載されていた。
この研究報告の概要の箇所で気になる記述があった。
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セジロウンカに産卵されたイネで、産卵された部位に生成された安息香酸ベンジルが卵のふ化率を低下させる殺卵現象
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この論文を探してみたところ、イネウンカ類に対するイネの殺卵反応 - 植物防疫 第51巻 第一8号(1997年)という論文に辿り着いた。
内容はタイトル通りなので省略して、抵抗性に関与している物質について触れることにする。
パブリック・ドメイン, リンク
安息香酸ベンジルの安息香酸はC6-C1の化合物で、六角形のベンゼン環の横に炭素が付いた形状を指す。
Arrowsmaster - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
おそらく安息香酸ベンジルはベンジルアルコールかベンズアルデヒドといった香り成分から合成される。
NEUROtiker - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
このベンジルアルコールは芳香族のアミノ酸であるフェニルアラニンから合成される。
合成経路を見てもできることは少ないので、光合成を高める事を意識して自然に抵抗性が高まる事を期待すべきかと。
あとは登熟期に如何に穂への養分転流率を抑え、健全な葉でウンカの被害が大きくなる時期を迎えるか?が重要になるはず。