前回のいもち病菌はイネの自然免疫を回避するの記事で、いもち病菌はα-1,3-グルカンをまとうことで、イネが葉の上にいもち病菌がいることに気付かず防御反応を示す事ができないという内容を記載した。
合わせて、いもち病菌のα-1,3-グルカンを分解出来る酵素をイネに合成させるようにしたら、いもち病の感染率が減り、この酵素が細菌由来であることも記載した。
細菌由来であれば、
葉や籾にそれらの菌もしくは細菌がいれば、いもち病の感染は緩和されるはず。
前回の記事の末尾に記載しておいた研究報告では、真菌であれば、分裂酵母やトリコデルマが紹介されていて、細菌であればバチルス属の細菌が紹介されていた。
いもち病も真菌なので、酵母に期待したくなるので、イネの葉の表面に酵母が付着する研究結果を探してみることにした。
平成27年度主要成果 酵母が生産する糖脂質は微生物を葉面に広く定着させる - 農業環境技術研究所
属は異なるが、酵母が生成する物質によりコムギの葉の表面にバチルス属の細菌が定着しやすくなるという報告が記載されていた。
酵母が合成した天然の展着物質は糖脂質のマンノシルエリスリトールリピッド(MEL)と呼び、優れた界面活性を有していた。
いもち病よりも酵母が先にイネの葉を占拠し、その後にα-1,3-グルカン分解酵素を有する菌、もしくは細菌が占拠するという流れがあれば、長雨でいもち病が発生しやすい時期でも緩和出来るようになるかもしれない。
後はどうやって葉の上に都合良く酵母にいてもらうか?だ。
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