今回は前回の量子力学で生命の謎を解くの続きになるわけだけど、
酵素は本来はたくさんのエネルギーを使って物質を変化させるところを、
触媒反応で少ない反応で小さな物質に変えつつ、エネルギーを獲得する。
酵素には様々な種類があるため、
少しずつ明確化していくために有機物からエネルギーを獲得するための酸化還元系の酵素に焦点を絞る。
ミトコンドリアという糖から水と二酸化炭素に変えつつエネルギーを獲得する系において、
糖から少しずつ電子を取り出して、
最後に集めた電子を利用して、水素イオンを膜の内側(図でいうところの下側)から外側(図の上側)に持ち上げ、
膜の内側と外側の水素イオンの濃度差を利用して、
外側から内側に一斉に水素イオンを移動させる際に発生するエネルギーをATPに詰め込む。
糖からエネルギーを獲得する過程において、
電子の獲得と利用というのが重要な要因となることがわかった。
この電子というのは解糖系とクエン酸回路によって糖から各々の酵素を使って丁寧に取り出されたものだ。
つまるところ、
酵素の少ないエネルギーで糖から電子を取り出せるという謎現象が根本にあり、
SBクリエイティブ 量子力学で生命の謎を解くではこの反応に量子力学を用いるとより深い理解を得られると記載されていた。
電子というものは粒子的な性質と波動的な性質の二重性を持つとされる。
粒子と言うと、微小な質量の粒を持つようにイメージされるけれども、
電子は粒子的な性質と波動的な性質を持つため、粒と単純に捉えることが出来ないらしい。
というわけで、
外側に持つ電子というものは、
このように中心に陽子や中性子の塊があって、その周りを電子という粒子が規則的に回っているのではなく、
こんな感じで電子が存在しうる確率の分布を図示した球体をイメージすれば良いらしい。
電子を粒子と波の二面性として捉えると、
単純なもの(電子)の移動ではない、量子力学的な捉え方が可能となる。
酵素の反応を捉える上で量子トンネルという現象が重要となる。
量子トンネルの概要をWikipediaから抜粋してみると、
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量子トンネル、または単にトンネリングとは、古典力学的には乗り越えられないはずのポテンシャル障を粒子があたかも障壁にあいたトンネルを抜けたかのように通過する量子力学的現象である。
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と記載されている。
量子力学はほぼ触れたことがないのでざっくりとしたイメージを書くと、
球体が左側から山を越えて右側に移動において、
本来であれば山を超えるために勾配分だけエネルギーを使って持ち上げる必要がある(図の上)けれども、
山を越えずに左側から右側に移動する現象(図の下)がある。
これをトンネル効果(量子トンネル)と呼ぶ。
電子が粒子と波動の二重性を持つのであれば、
上の図のどちらの現象も起こりうると言える。
量子トンネルが発生するためには周辺の様々なものが振動しないような超低温であったりする必要がある。
生命の中で上記のような条件はあり得ないが、
酵素反応の中でトンネル効果が見られたという研究結果があるそうだ。
酵素はタンパク質にある特異的な配列が基質を固定して反応を進めるけれども、
その固定はトンネル効果を起こすためのもので、
結果として、
上記のグラフのような触媒反応が可能になると。
この説明でしっくりきたけれども、量子トンネルという更なる謎現象の登場によって
生物(特に細胞)というものが更にわけのわからない存在になってしまった…
追記
今回の話は電子だけでなく、原子を構成する陽子にも言えるらしい。