イネ科植物と共生する菌でグラスエンドファイトというものがあり、
グラスエンドファイトが合成するアルカロイドには、
植食性の昆虫に対して致死性、もしくは食害抑制がある。
この効果をヨトウの被害の対策に出来ないか?と調べていたところ、
エンドファイト活性のあるイネ科の緑肥のタネが既に販売されていることを知った。
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今回はこの続き
ヨトウはジェネラリスト(広食性)の昆虫ではあるが、
作物に被害を与えるヨトウがイネ科の草まで食べるか?は不明
となると、
作物とペレニアルライグラスを一緒に栽培して、
ペレニアルライグラスと共生している菌がアルカロイドを合成しても、
それがヨトウに効くことはないかもしれない。
※ヨトウに効いたとして、過剰に利用するとヨトウが耐性を持つ可能性もある
※耐性をもったヨトウが体内にアルカロイドを溜め込んで、天敵に対する防御として利用する可能性もある
ヨトウの被害に対して成す術はないのか?
次に考えることはヨトウの天敵を呼ぶ方法だろう。
ヨトウの天敵を調べていたところ、
農研機構の研究結果に行き着いた。
土着天敵を活用する害虫管理 最新技術集 / 土着天敵を活用する害虫管理技術 事例集
事例6(千葉県・静岡県)のPDFを開いてみると、
ネギ栽培において、通路にムギを間作させると、
アザミウマやヨトウの天敵である肉食性のクモ、カメムシやダニが定着して捕食していたそうだ。
この話は、
劣化土壌に対して苦肉の策で行った時の対処が、
実はアザミウマに対しても有効であった時のものだ。
※アザミウマに対しての有効性は農研機構の研究結果から知る
ヨトウに対しても、
作物に到達させないように天敵が住み着く環境をムギの間作で設けることが大事なのだろう。
この時育てるムギをペレニアルライグラスにするかどうかは各々の判断に任せるとして…
ペレニアルライグラスを利用する場合は、
現時点での情報をまとめると、土壌の水分少なめ、窒素分多めなので、
おそらく通路で間作だと作物に影響を与えてしまうので、
ほ場を囲むようにペレニアルライグラスを植えて、
ヨトウの外からの侵入に対する壁のようにするのが良いのだろう。
通路はマルチムギ、ほ場を囲むのはペレニアルライグラスで二段階防除
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