前回のトマト果実の割れを回避するために葉のシンク強度を考えるの記事に引き続き、今回は葉の方の挙動である気孔の開閉について見ていくことにする。



トマトの葉の裏側を顕微鏡でみると、


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このようなとても小さな穴があって、この穴を気孔と呼ぶ。

※トマトでは把握していないが、気孔は葉の表にも少量ながらあるとされている。


この気孔の役割を整理すると、葉内に二酸化炭素(CO2)を取り込む為と言われているが、その逆の反応で葉内の水を蒸散させる。

CO2の吸収と水の蒸散はどちらも拡散に因るものなので、葉内の二酸化炭素の量が葉外よりも薄ければ二酸化炭素が入り込むし、葉内の水は葉外が乾燥している程、蒸散量は増す事になる。


蒸散で葉から水分が減ると、当然のことながら葉内の濃度が高まるわけで、


カルシウム過剰によるカルシウム欠乏


葉が根から茎を経て水を吸い上げる力が増す事になる。




気孔は日中であればCO2を吸収し続けたいが、CO2の獲得の代償として葉は蒸散によって水を失う。

植物は水を失うと枯れてしまうので、常にCO2と水のバランスを調整する為に気孔の開閉を行っているが、開閉の仕組みについてはまだ明確でないとされている。


わかっていることは、気孔にある孔辺細胞で


By June Kwak, Pascal Mäser - June Kwak, University of Maryland, Public Domain, Link

※赤文字のABAは乾燥ストレスに関与するアブシジン酸のこと


何らかの刺激によって孔辺細胞にカリウム等のイオンが流れ込み、孔辺細胞のイオン濃度が高まることによって、



周辺から孔辺細胞に水が入り込み膨圧によって膨らみ、気孔が閉じる。


気孔を開くには、孔辺細胞からカリウムを抜くことによって、細胞内のイオン濃度を下げ、孔辺細胞から水を逃がす事によって膨圧を下げ萎ませる。

孔辺細胞とカリウムの関係は難しいので、この記事ではここまでにしておく。




ここまでの話で頭に浮かんだ事がある。

野菜の美味しさとは何だろう?カリウムの記事で、慢性的なカリウム不足の話を記載したが、トマト栽培で木をいじめるという技術を整理するの記事で触れた通り、トマトには土の物理性の改善を行う習慣が無いため、他の作物よりもカリウム不足が深刻になりやすい。


カリウム不足が気孔の開閉に影響を与え、トマトの品質の低下を招いている可能性はないだろうか?

根からの吸水よりも葉からの蒸散防止の方が植物の生育にとって重要度が高いはずなので、カリウム不足によって、本来吸収したかった微量要素が吸収できなくなるとか。