前回のトマトの果実のヒビ割れ問題に触れてみるの記事に引き続き、トマト果実の割れについて触れてみる。

果実の割れの要因を整理すると

・果皮が柔らかい状態

・果実に急激に水が移行してきた

であり、果皮を硬くすると、極力果実に水を移行させないという二つの切り口で問題を回避出来る。


果皮の硬さについては、カルシウムの適切な吸収になるので、要因の後者の果実への水の移行とリンクする。


水の移行についてわかっている事を整理すると、


カルシウム過剰によるカルシウム欠乏


当たり前の話だけれども、根から吸収した水は茎を経由して葉に移動する。

この移動には浸透圧を利用する。



浸透圧というのは、イオン濃度が濃い水と薄い水を水だけ通して、水に溶けているものは通さない半透膜という敷居を設けると、水はイオン濃度が薄い方から濃い方に移行する圧力を言う。


葉内の水のイオン濃度が茎よりも高ければ、茎から葉に水は移行するし、茎が根よりもイオン濃度が高ければ、根から茎に水は移行する。

根が土から水を吸収する時も同様で、根が土よりもイオン濃度が高ければ根は土から水を吸収することが出来る。

最初に疑えというぐらいカリウムは大事


果実に急激に水が移行することを単純に考えれば、



果実の周辺の葉内のイオン濃度が果実内の水のイオン濃度よりも高ければ根からの急激な水の吸い上げの際に一切果実に水が行かなくなるわけだけれども、果実には養分を溜め込む特性があるのであり得ない。


であれば、葉内のイオン濃度が比較的に高ければ、果実に水が移行する量を抑える事が出来るようになる。


そんなことは可能なのか?

果実周辺の葉に対して分子量が小さめの成分を直接与える事ができれば良くて、微量要素の葉面散布が要件を満たす。

野菜の美味しさとは何だろう?食味の向上


微量要素自体で葉内のイオン濃度は高まるが、微量要素が作用して光合成が活発になり、糖の合成の材料として水が使われ、葉内の糖やアミノ酸の濃度も高まるので一石二鳥となる。

酸素発生型光合成の誕生の前に


葉内のイオン濃度を高める方法として、もうひとつ葉の裏にある気孔からの蒸散を活発にさせることがあるけれども、長くなりそうなので今回は一旦ここで終了にする。


追記

今回のように葉や果実のような器官に水が集まりやすくなる指標としてシンク強度という用語がある。

シンク強度の増強には植物ホルモンのサイトカイニンが関与していて、器官内の糖を利用してシンク強度を増強する

サイトカイニンは細胞壁インベルターゼを活性化する


サイトカイニンは根で最初の合成が行われて、各器官に輸送されるので、シンク強度の観点から言えば、トマトの秀品率の向上の為には発根量が重要になる可能性がある。