グラム陰性桿菌に作用する抗生物質までの記事で、菌(糸状菌、カビ)が生成する抗生物質で、作物に悪影響を与えるカビ毒(マイコトキシン)を生成する菌や軟腐病菌(細菌)の個体数を減らせるのだろうか?という疑問を解消すべく調べている。
そういえば、ヘアリーベッチが根からシアナミドを分泌するけれども、シアナミドは菌に影響を与えるのだろうか?と疑問になった。
これに関しては以前投稿していたので、リンクのみ記載しておく。
過去記事に触れる前に検索で引っかかった研究があって、その研究内容が興味深かったので、今回はその紹介を行うことにする。
ダイズ根圏に殺虫活性物質オカラミンを発見 ―土の中の遺産「根圏ケミカル」をメタボローム解析で明らかに― - かずさDNA研究所
上記の研究報告で興味深い点が二つ。
※図:ダイズ根圏に殺虫活性物質オカラミンを発見 ―土の中の遺産「根圏ケミカル」をメタボローム解析で明らかに― - かずさDNA研究所 2ページ目より引用
ペニシリウム属のカビであるPenicillium simplicissimumをオカラ上で培養した時に殺虫作用があるオカラミンを得られたこと。
オカラミンの作用機構は昆虫等の無脊椎生物の神経系にしか見られないグルタミン酸作動性塩素チャネルに作用する。
興味深い事の二つ目は、このオカラミンがヘアリーベッチの根圏から発見され、しかも次作(報告ではダイズ)に引き継がれているということだ。
ヘアリーベッチはシアナミドで土壌の様々な生物を抑制しつつ、オカラミンで昆虫にも影響を与える。
例えば、土壌中である種のみ極端に増殖してしまった場合、その種に最も影響を与えるのが常である。
その種が栽培にとって悪影響をあたえるものであるならば、その種の個体数が調整され、土壌の微生物叢の多様性が増す事に繋がる。
ヘアリーベッチをうまく組み込む事が、秀品率の向上にとって重要なのかもしれないな。
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