メタリジウム属の糸状菌が話題になったので、検索をしてみたら興味深い内容のページに辿り着いた。
清水 進 Metarhizium属糸状菌の最近の研究動向─分類と新機能を中心として─ 蚕糸・昆虫バイオテック 83 (2): 153-158(2014)
古くから昆虫を対象とした生物農薬として注目され、一次は合成農薬にその座を奪われながらも、再び注目されるようになった糸状菌がいる。
メタリジウム属の糸状菌の中には当サイトで何度も話題に挙がっていたネギアザミウマに対して効果があるものもいる。
そんなメタリジウム属の糸状菌だけれども、近年、植物との共生関係で注目され始めているらしい。
※清水 進 Metarhizium属糸状菌の最近の研究動向─分類と新機能を中心として─ 蚕糸・昆虫バイオテック 83 (2): 153-158(2014) 156ページ 図1を引用
メタリジウム属糸状菌の表面に昆虫クチクラ付着タンパク(MAD1)と植物植物付着タンパク(MAD2)があり、MAD1は地中にいる昆虫(論文中では様々な昆虫が記載されている)の体の表面に付着し、MAD2は植物の根に付着し、糸状菌を介して昆虫と植物の根を繋いだ状態になる。
メタリジウム属糸状菌をトマト苗に施用したら、発根促進が見られ、ダイズでは塩害の耐性が増したとされている。
これは植物がメタリジウム属糸状菌を介して、昆虫由来の養分を得られた可能性が高いとされている。
今回の話は栽培者にとって夢のような話であり、是非とも栽培中の作物とメタリジウム属を共生させたいところだけれども、この菌が畑の土に都合よくいてくれるものなのだろうか?
補足
メタリジウム属はテレオモルフ(有性世代)が広義の冬虫夏草を生じる菌を含んでいる
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※サナギタケのテレオモルフが冬虫夏草に分類される(形態は今回の菌と大きく異なる)