モノリグノールに作用するデメチラーゼがあったらいいなまでの記事で、モノリグノールからリグニンになる過程と、リグニンが分解される過程を見ようとしている。
何故かというと、リグニンの分解により生成された産物が腐植酸の一部を構成するという考え方があり、その詳細を把握しておきたいからだ。
ただ、検索をしても、生成AIに質問をしても、上記の疑問についての詳細の内容に行き着くことができない。
難解過ぎて、腐植酸のスタートラインに関与する反応が発見されていないのだろう。
ここらへんを考えるに当たって、リグニンの合成の際に挙がったラジカルカップリングという用語は把握しておいた方が良いだろう。
タンニンを構成するポリフェノールが酸化して生成されたキノンと、リグニンを構成するモノリグノールのどちらにもラジカルの話題があるからだ。
本田沙理等 ポリフェノール,化学反応を基盤とする機能性物質 抗酸化反応から成分間反応まで - 化学と生物 Vol. 53, No. 7, 2015
松下泰幸 リグニンの構造とその解析 分光法や分解法を駆使して,複雑な化学構造に迫る - 化学と生物 Vol. 61, No. 11, 2023
今までラジカルカップリングについてほとんど触れてこなかったので、最もシンプルな反応から見ていこうかと。
ラジカルカップリングの前にラジカル関連で最もシンプルな反応はメタン(CH4)と塩素ガス(Cl2)であるそうだ。
塩素ガスは光を照射すると塩素分子が開裂して反応性の高い塩素ラジカル(Cl・)になるそうだ。
これを踏まえて、メタンと塩素ガスの反応を見ていくと、
Cl2 + hv → 2Cl・
※hvは光を照射という意味
CH4 + Cl・ → CH3・ + HCl
メタンのC-H結合から水素原子を奪い、塩化水素 (HCl) を生成すると同時に、メチルラジカル (CH3・) を生じさる。
あとは連鎖反応で
CH3・ + Cl2 → CH3Cl + Cl・
の反応が続く。
これを踏まえた上で、ラジカルカップリングで最もシンプルな反応は2つの同じラジカルが結合して1つの分子を形成する反応であるそうで、メチルラジカルの結合が挙がるそうだ。
メチルラジカル同士の結合は
2CH3・ → H3C-CH3
のエタンになる。
エタンにもラジカルに関わる話題はあるが、難しい内容だったので今回は触れないでおく。