MITC

※図:メチルイソチオシアネート - 環境省より引用


メチルイソチオシアネートが土壌中でどのように分解されるのか?が気になっている。


メチルイソチオシアネートは土壌消毒用の農薬の成分で、アブラナ科作物の持つイソチオシアネートと構造が似ていて、環境に優しい消毒剤だとされている。

イソチオシアネート - Wikipedia

ダゾメットによる土壌消毒はチョウ目の幼虫に有効であるか?


環境に優しいというが、硫黄(S)が含まれている薬剤であるわけで、土壌中でどのように分解されるのか?が気になっている。

硫酸塩系肥料の残留物がある土を緑肥で解決したい


というわけで、調べてみることにした。




メチルイソチオシアネートの水域環境における分解挙動 - 水環境学会誌 2009 年 32 巻 4 号 p. 213-218に提案段階の記述ではあるが、メチルイソチオシアネートの水の付加反応による反応が記載されていた。


イソチオシアネートが水の付加反応を受けると、メチル基を持つO-チオカルバマート(名称不明)になり、硫化カルボニル(COS)とメチルアミン(H3C-NH2)に分離する。

チオカルバマート - Wikipedia

硫化カルボニル - Wikipedia

メチルアミン - Wikipedia


硫化カルボニル自身にも毒性があるらしいが、硫化カルボニルは再度水の付加反応を経て、

COS + H2O → H2S + CO2

で硫化水素(H2S)が生成される。


メチルイソチオシアネートは光による分解もあるそうだが、土壌中は光が届かないと仮定して、水による反応の方を見ておけば良いだろう。


生成された硫化水素がメチルイソチオシアネートと反応して、二硫化炭素(CS2)が生成される。

H3C-N=C=S + H2S

CS2 + H3C-NH2

二硫化炭素 - Wikipedia

※メチルイソチオシアネートとメチルアミンの反応もある


二硫化炭素は求電子剤(電子を欲しがる方)の特徴を持つそうだ。

求電子剤 - Wikipedia


二硫化炭素が土壌中で鉄等の酸化還元に関与する微量要素と反応していたら嫌だな。

最近の肥料でよく見かける酸化還元電位