国内でラッカセイの需要はどれ程あるのか?までの記事で、低リン酸耐性作物であるラッカセイについてを見てきた。
ラッカセイはpHが低い(5前後)で難溶性のリン酸(Al型リン酸)の吸収が盛んになるという真価を発揮する。
ここで一点程気になることがある。
一般定説としてラッカセイは実の形成時にカルシウム(石灰)が不足すると空莢が増えて収量が減るという事。
収量を減らさない為に苦土石灰を施肥することが推奨されているが、苦土石灰は生理的塩基性肥料(pHを上げる)として扱われている為、ラッカセイの生理的特徴に反することになる。
ラッカセイの真価を維持しつつ、カルシウムを与えることができれば、輪作を含めた栽培体系における減肥の達成が確固たるものになるはず。
というわけで、カルシウムの施肥を考えてみることにする。
石灰だからといってpHを調整できるわけではないの記事で記載した通り、石灰といってもすべての石灰が土壌のpHを上げるわけではない。
例えば、硫酸石灰 CaSO4 や硝酸石灰 Ca(NO3)2 は強酸と強塩基の組み合わせの石灰の塩で、施肥後に土壌のpHを上げる事はないとされる。
これらの石灰を使用すれば、ラッカセイの空莢問題は解決するだろうと思いきや、どちらも根(陰イオン)の方の施肥後の影響が大きく、施肥前に綿密な施肥計画を行っておく必要がある。
上記以外で土壌のpHを上げずに施肥できるカルシウムはあるのだろうか?と考えてみたところ、
苦土石灰等の炭酸石灰を事前にクエン酸で溶かしておいた、有機酸石灰が土壌のpHを上げずに石灰を散布する有効な手段となる。
ただ、炭酸石灰を事前にクエン酸で溶かしておくのは手間なので、事前に炭酸石灰を土表面に追肥しておいて、定期的にクエン酸を散布して、カルシウムを溶かして土に染み込ませるというのが現実的なのかもしれない。
細かい散水はできないので、葉にクエン酸がかかった時の影響は何か?といったことを事前に調べておく必要はありそうだ。
葉面散布でクエン酸を推奨していることを見かけるので問題はなさそうだけれども。
関連記事