ワインのポリフェノールに迫るの続き。
前回はワイン中のポリフェノールの酸化について触れた。
酸化についてもう一つ重要なものが、
エタノールの酸化によって生成されたアセトアルデヒドだろう。
2CH3CH2OH(エタノール) + O2 → 2CH3CHO(アセトアルデヒド) + 2H2O
アセトアルデヒドと聞いてイメージするのが、
悪酔いであったり、発がん性であったりと良い印象はないけれども、
少量であれば面白いことが起こるらしい。
アセトアルデヒドに関して更に深いことを知りたいと思い、
ワイン内の化学反応について詳しく記載されているものを探してみた。
後藤奈美 赤ワインの渋味 ―ブドウ栽培と醸造の影響― 醸協 第107巻 第4号(2012)にポリフェノールの反応が記載されているのだけれども、その中でアセトアルデヒドに関する面白い内容が記載されていた。
/****************************************************/
色の安定化にはこれらの複合体(ポリフェノールの縮合のこと)よりもアントシアニンとアセトアルデヒドやピルビン酸が反応して生じるピラノアントシアニン類の生成の影響が大きいとも指摘されている
/****************************************************/
※後藤奈美 赤ワインの渋味 ―ブドウ栽培と醸造の影響― 醸協 第107巻 第4号(2012) 213ページより一部改変で引用
アセトアルデヒドが関与して生成された物質の一例を挙げると、
※後藤奈美 赤ワインの渋味 ―ブドウ栽培と醸造の影響― 醸協 第107巻 第4号(2012) 214ページより引用
二つのフラボノイドの間にアルデヒド(CH3CH)が架橋になって繋がっているポリフェノールがあり、
これはポリフェノール特有の渋味よりも苦味が目立つらしい。
ワインの熟成から大きなヒントを得た。
どのようなヒントを得たか?というと、
ポリフェノールが何を介して縮合するか?というパターンの一つである。
糖から様々な反応を経て生成されたアセトアルデヒドがポリフェノール間の架橋になっている知見は大きな一歩となるだろう。