遺伝子組み換えは日常的に起こっているの続きで、
遺伝子組み換えの手法に入る前にプラスミドについてを記載しておく。
とある細菌の群集があったとして、
そこに殺菌剤をまく。
とある細菌は急激に死滅して、
群衆毎消滅するかと思いきや、
死滅せずに生き残っている。
この細菌を殺菌しようと同じ殺菌剤をまくんだけど効かない。
おそらく耐性を持ったのだろう。
細菌は細胞分裂を行って増殖していくので、
一定間隔で全体の2乗ずつ増えていく。
生き残った細菌が1個体だとすると、
1時間で一回細胞分裂したとして、10時間で1024個体になっている。
はずなのにおかしいぞ。
1024個体では目に見えないはずなのに、
目の前の培地の上に細菌がいるのが見えるぞ。
もしかして耐性を持っていない細菌も耐性を持ち始めたとか?
微生物学ではF因子という考え方があって、
後々遺伝子組み合えの話でも重要になってくる。
細菌には自身を構成する情報が入っているDNAと
耐性等何かの形質を獲得した時に情報を保管しておく環状DNAのプラスミドを持つ。
※上の図のプラスミドは実際はこんなにも大きくない
面白いことに、
このプラスミドは細胞分裂をする時も本体のDNAと独立して自己複製され、
細胞分裂後の2つの細菌で同じ情報を持つことになる。
で、F因子の話だけど、
細かいことは置いといて、
このプラスミドを持つ細菌をオスとして考え、
プラスミドを持たない細菌をメスとして考え、
持つ細菌と持たない細菌が出会うと、
プラスミドを複製して渡すという現象がある。
プラスミドを渡されたメスの細菌はオスの細菌に変わる。
この自由に渡すことのできるプラスミドのことをF因子という。
プラスミドにはもっと面白い話があり、
プラスミドを持つ細菌は持たない細菌よりも細胞分裂時の負荷が大きく、
持つ細菌と持たない細菌を同時に培養を始めると、
プラスミドを持つ細菌の増殖は持たない細菌よりも遅くなる。
増殖が遅いということは、
薬剤(殺菌剤)がないところでは勢力拡大できないということで生存競争で不利になるわけで、
周辺から薬剤がなくなるとプラスミドを捨てる細菌が出てくるそうだ。
この時、一部の細菌のみがプラスミドを持つので、
増殖が速くなったからと殺菌剤をまいても前ほど薬剤は効かなくなる。
この話、
遺伝子組み換えは日常的に起こっているに出てきたアグロバクテリウムが宿主に根こぶの遺伝子を組み込む時、
自身のプラスミドを宿主の植物に対して渡している。
遺伝子組み換えでアグロバクテリウムの次に鍵になる用語はプラスミドである。