前回の乳酸菌が合成するカロテノイドの記事では、ウシ生乳由来の乳酸菌が好気環境下において、酸化ストレス耐性としてカロテノイドを合成しているという研究報告に触れた。
他にも何かあるか?と検索を続けていたら、
高野英晃 - 微生物機能を誘発する環境因子群とその作用機構に関する研究 - 日本農学進歩賞(2015)という研究報告にたどり着いた。
要約すると、土壌にいるグラム陽性細菌である放線菌(の一種)で、光を感知することによってカロテノイドの生産が促進された。放線菌は受光することによって、カロテノイド合成に関与する一連の酵素が発現する。
受光することによって何らかの機能が発現する事に関与する遺伝子は、グラム陰性や陽性問わず様々な細菌から発見されている。
※光回復酵素やバクテリオロドプシン等
今回の研究報告で興味深い内容として、ある種の放線菌が近傍に存在する別種放線菌の抗生物質生産を著しく促進するというユニークな生物現象があるそうだ。
ある種の放線菌が合成する鉄包摂化合物シデロフォア Desferrioxamine Eが、周辺にいるグラム陰性の細菌の抗生物質であるびバイオラセインの合成を促進した等
話は戻って、土壌の微生物においても光というものが重要になり得るということがわかった。
その光に関して、微生物であってもカロテノイドが何らかの事で関与しているということも合わせてわかった。