最近、農業関係の仕事をしていて化学の勉強をしている方から、
下記のような質問があった。
肥料で有機態窒素という名前がよく挙げるけど、有機態窒素とは何ですか?
一般的に有機質肥料を使用した時の有効な窒素分であることはなんとなくわかるけれども、実態を知りたい。
とのこと。
有機と言えば当然無機もあって、
ざっくりと書くと、有機というのは炭素(C)を含む化合物で、炭酸、重炭酸塩(MCO3 or MHCO3 Mは何らかのミネラル)は除く。
先に無機の窒素肥料でよく使うものを書くと、
硫酸アンモニウムの硫安((NH4)2SO4)、硝酸石灰(Ca(NO3)2)等の窒素(N)を含んでC(炭素)を含まないもの。
一方有機態窒素というのは、
有機質肥料の中にある窒素(N)と炭素(C)を含んだ化合物か、
それが分解されたものでまだ窒素(N)と炭素(C)を含んだ化合物であるもので、
(Rには何らかの基が入る。例えばグリシンはH)
これに該当するのが、アミノ酸が無数に直結して合成されたタンパク質と、
タンパク質が分解される過程で発生するペプチド(アミノ酸が直結したものだけど長くないもの)とアミノ酸がある。
アミノ酸が分解されると種類によってはすぐに無機の窒素になる。
これを有機質肥料の窒素の無機化と呼んでいる。
昔は無機ではなければ植物は根から吸収できないと考えられていた頃、
有機態窒素が無機化されるまでに時間がかかるため、
この効きの遅さを肥効の遅効性として利用しようとしていたけれども…
他にも窒素(N)と炭素(C)を含んだ化合物はあるけれども、
それに触れるのはまた今度の機会にでもしておこう。
有機態窒素がアミノ酸がつながったものだということがわかったところで、
家畜糞堆肥の中に有機態窒素はあるの?という疑問が発生するはず。
家畜糞堆肥の構成を細かく見てみると、
未消化、もしくは消化途中の有機物が含まれているため、この中に当然タンパク質らしきものは含まれるはず。
更に様々な有機物を分解するために活躍する様々な微生物群の死体が堆肥の上に溜まり、
微生物の体はタンパク質で形成されている。
これらを踏まえると家畜糞堆肥にも有機態窒素は含まれていると考えることができる。
食品加工の切り身の粉末と未消化分のタンパク、
どのような差があるのか?は不明だけど…