当ブログを開設する前のこと。

あることから鶏糞の発酵に関わることになり、鶏糞の諸刃の刃的な可能性と抱える問題で夢中になりました。

発酵鶏糞ができるまで1


鶏糞、栽培している人がこの言葉を聞くと、安価に入手できる窒素肥料というイメージがあると思う。

実際には正しいのだが、これを養鶏農家から見ると全く別のものになる。


そういう視点を神奈川県にあるコトブキ園という養鶏農家から教わった。

コトブキ園 神奈川県相模原市の養鶏場 たまご街道 コトブキ園たまご、横濱鶏、親どり




家畜排せつ物法というものがある。

家畜排せつ物法という法律が制定された経緯として、

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家畜排せつ物は、野積みや素堀りといった不適切な管理によって、悪臭の発生要因となったり、河川や地下水へ流出して水質汚染を招くなど、環境問題の発生源としての側面を有する一方で、堆肥化など適切な処理を施すことによって、土壌改良資材や肥料としての有効活用が期待されるなど、農村地域における貴重な資源としての側面も有するものといえます。

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家畜排せつ物法とは:農林水産省より引用

と農水省のページに記載されている。


ざっくりと書くと、

家畜糞は処理場を作って適切に処理しなさい。

排泄された糞尿を何も処理せず農場の外に持ち出すことを禁止する。

というもの


この法を守らなかった時の罰則はなかなかきついものがあるけど、それはこの場では触れません…


何も処理をせずに農場の外に持ち出すことを禁止するというけれど、処理とは一体何か?といえば、それはもちろん、


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家畜糞を発酵させて、


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鶏糞であれば、左側の生糞から右側の処理済みの鶏糞堆肥にする必要がある。

発酵鶏糞ができるまで3:一次発酵編


ちなみにここでの処理や処理後の産物の質は問われておらず、この質が問われないというのは栽培者にとってとても重要で、知っておかなければ作物の品質を低減させる要因になるのだけれども、その話は機会があればどこかで。




発酵処理は


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農場での飼育数(規模)によって、一日に排泄される糞の量が上がっていき、小規模であってもそれなりの施設を必要とする。

当然のことながら、この施設では売上が上がるような取り組みを行うことが出来ず、


しかも厄介なことに、発酵処理が進めば進むほど、


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発酵鶏糞ができるまで5:四次発酵編


黒色火薬の原料である硝石が溜まっていく。

※硝石→硝酸カリウム


硝石が火薬の原料といっても爆発する方ではなく、酸化剤で火を強める方なのでこの施設が突然爆発するということはないけれど、


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家畜糞の処理を行うには、急激に温度が上がった時対策として、スプリンクラー等の投資もしなければならない。

しかも、何らかの処理を終えて処分する時に、これを処分場に出すと地域によるけど、20円/kgぐらいの処分費が発生する。


つまりは、家畜排泄物の処理は畜産業側での負担になるわけで、これが原因で廃業に追い込まれる可能性も十分に考えられる


一つの産業で負担が増大すると、他産業にも負担が伝染していくもの。

知らず知らずの内に、栽培側でもその影響が出てきていて、関係ないと思っている人、特に米で品質が下がり始めている兆候があるのだけれども、それはどこかで触れるかもしれません。


特にアグリビジネスだと言って、規模拡大に躍起になっていると今回の話の影響は大きい。


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畜産の糞詰り問題から栽培側への影響