邪気を祓う桃の記事で古事記とモモから古代史におけるモモの位置付けについて調べてみた。
古代中国においてモモには邪気を祓うような特別な力があると考えられていて、平安時代ではモモのタネを桃仁(とうじん)という名称の薬として活用していたそうだ。
ここで気になるのが、桃仁に薬効があるのか?ということだ。
早速、桃仁の薬効で検索をしてみたところ、モモ | 熊本大学薬学部薬草園 薬草データベースのページにたどり着いた。
モモの種子の成分として
Yikrazuul - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
アミグダリンと
Yikrazuul (talk) - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
プルナシンの記載があった。
どちらもC≡Nをもつ青酸配糖体となっている。
青酸(せいさん:シアン化合物)といえば人体に対して毒性が強いというイメージがあるが、上記2つの物質は配糖体であるため反応性が弱くなっているのか?
アミグダリンの方の記載を読んでみると、アミグダリン自体は安全であるが、体内で分解されることによって生成されるシアン化水素(青酸)の方で中毒症状があるそうだ。
ただし、ごく少量であれば安全に分解されるそうだ。
上記の文章だけでも、モモから邪気を祓う感が十分あるように思える。
桃仁の実際の効能だけれども、駆瘀血(血の滞りを除く)作用や神経痛の緩和があるそうだ。
血の滞りはウィルス性の風邪の要因に成り得るし、神経痛は生活の質を下げて病気になりやすくする。
どちらも邪気を祓う感満載の効能となっている。
しかし、ごく少量であれば安全に分解され、大量に摂取すると中毒症状を引き起こすような効能の桃仁を、古代史に生きる人々はよく見つけたなと感心する。