※上の写真のマルチはおそらくビニールマルチだけれども、ポリ乳酸のマルチだと過程して見てほしい。
生分解性プラスチックのポリ乳酸とは何か?の記事で生分解性マルチの一種であるポリ乳酸についてを見たけれども、上の写真のように土と接して分解が開始されないのだろうか?と疑問が生じたので、ポリ乳酸の処分こと堆肥内での発酵について調べてみることにした。
早速検索してみたところ、ユニチカ株式会社 望月政嗣著 ポリ乳酸繊維の特徴と応用 -植物から生まれた環境調和型次世代合成繊維- 繊消誌 Vol.47 No.3 (2006)に辿り着いた。
ポリ乳酸を使用するに当たって前提にあるものとして、ポリ乳酸は人為的に化学合成した高分子化合物なので、ポリ乳酸を直接分解できる微生物や酵素は自然界には少ないが故に使用することができるということがある。
ポリ乳酸を分解できる微生物が少ないという事は、処分する際に希少性の高い微生物を探し出して、その菌を発酵炉に投入する必要があるのか?と疑問が生じる。
もし上記の疑問が正しければ、発酵炉のような高温の中で生きられる微生物であるのか?といった条件が厳しくなり、処分の難易度が上がりポリ乳酸でもビニールマルチのマイクロプラスチックのような問題を誘発するのではないか?と不安になる。
この疑問に関して、上記の報告では下記のように答えている。
ポリ乳酸の分解は2段階の分解機構によって進行する。
・律速段階である初期の加水分解は高温(> 60℃),高湿(> 80%),アルカリ条件下(pH > 8)などの条件により低分子化する
・低分子化したものは微生物によって炭酸ガスと水に完全分解される
土壌環境で1つ目の条件の高温を満たすのが難しい為、
こんな感じで農業資材として利用することが可能となっている。
ここで乳酸菌の話を持ち出したい。
乳酸菌バクテリオシンの記事で乳酸菌が生産する抗菌物質として乳酸がある。
乳酸には抗菌性があり、ポリ乳酸にもその影響を受け、穏やかな抗菌作用を有していると予想されている。
ポリ乳酸をプラスチック素材として活用している時は抗菌作用は有り難いが、処分時に抗菌作用があると厄介ではないだろうか?
その疑問に対してはこう答えている。
発酵熱60℃以上のコンポスト内では、低分子化した乳酸が速やかにアンモニアと繋がり
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乳酸アンモニウムというアンモニウム塩を形成する。
乳酸アンモニウムは軽度の抗菌作用を有するが、周辺のpHが高ければ抗菌作用を発揮しにくい。
上で挙げたポリ乳酸の2段階の分解の条件に高アルカリ性があるので、処分場の条件を満たせば乳酸の分解の難易度は下がる。
後は乳酸分解菌が都合よく動いてくれるか?だけれども、そこは特に気にしなくても良さそうだ。
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