マルチ栽培とESGの記事で、土の被覆資材として活用するマルチについて見た。
世界的なマイクロプラスチック問題が大きくなっていったら、マルチ栽培の風当たりが強くなるのでは?と予想しているので、風当たりがないうちに色々と見ておきたい。
そのうちの一つに生分解性プラスチックから作られたマルチがある。
栽培の師のところで生分解性マルチを使っていたので、ビニールマルチとの差というものはなんとなくわかる。
生分解性マルチは土の微生物によって分解されるというから使用中に消滅してしまうのではないか?と思うかもしれないが、使用後に土に鋤き込んでも全然分解されない。
次の作付けで邪魔になるので回収する必要がある。
但し、
上の写真のようなマルチの劣化がビニールマルチより早くて、所々に縦線の避けた穴がすぐに発生し、その隙間から草が出てきた。
耐久度の面で果菜類のような長期栽培には向いていないなというのが所感だ。
※最後に生分解性マルチを使ってから10年程経過しているので、現在は耐久度の面は克服しているかもしれない。
そんな生分解性プラスチックだけれども、どうして生分解性という特徴があるのか?が気になるところなので整理してみた。
現時点で生分解性プラスチックで一番メジャーだと思われるのは、
ポリ乳酸だろうか。
読んで字の如く、乳酸が複数個(ポリ)繋がっている構造をしている。
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乳酸といえば人の筋肉が糖をエネルギー源として動かした時に老廃物として作られるものとして有名。
生分解性プラスチックの原料となる乳酸は、
サトウキビ等から得られた糖を微生物によって乳酸まで分解させたものを用いるそうだ。
得られた乳酸を加熱脱水重合と減圧下加熱分解という手法を経て、ラクチドと呼ばれる形にした後に亜鉛の塩等の触媒を介して、更に重合させてプラスチックの形にするそうだ。
ポリ乳酸の合成の際にどのような亜鉛の塩を用いているか?を調べてみたら、ベンゼン環にリン酸がついたフェニルホスホン酸に亜鉛が付いた形のフェニルホスホン酸亜鉛の名前が挙がっていた。
フェニルホスホン酸亜鉛塩CAS#:34335-10-9 -ChemWhat | 化学物質および生物製剤のデータベース
ポリ乳酸は堆肥に混ぜ込むと速やかに分解するらしいが、触媒を入れても大丈夫なのだろうか?
ビニールマルチが土に残ることを考えたら、触媒の事は気にしなくて良いか。
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