NHKのブラタモリという番組で白川郷の話題があって、便所の横で硝石を製造していたという内容が放送された。
「白川郷〜白川郷はなぜ美しい?〜」 - ブラタモリ - NHK
硝石というのは黒色火薬の材料の一つになる。
余談になるが講談社から発売されているもやしもんという漫画で大学の先生が学生の大便から大砲作ろうぜという話題があることで、大便から硝石が出来ることを知った人も多いはず。
硝石は化学組成がKNO3になる硝酸塩で、即効性の窒素 + カリ肥料となる。
これが化学が確立されていない時代に便所から得ていたとなると、身近にある有機物から得られることになるので、今回は硝酸の製造について見ていく。
硝石の製造に関しては、野澤直美 硝石製造法の史学的調査と実験的検証に関する研究─わが国における 3 種の硝石製造法の比較─ - 薬史学雑誌 55(2),179-193(2020)に目を通すことをおすすめする。
伝統的な方法では多大な時間を要する為、今回は簡略化した内容に触れる。
二年程寝かせた熟成の牛糞(文中では堆肥と記載されている)を4kg程取り出し、水を4L程加え、30分間撹拌して布製袋に入れて濾過し抽出水を得た。
※抽出水は何度か得ているがそこらへんの内容は端折る
得られた抽出水に木灰(クヌギ,カシ,サクラの灰)を約700g加えてよく攪拌し,薪を燃やして加熱して再び濾過して一番硝酸水を得たそうだ。
後は水を飛ばして結晶化したものが硝石となる。
要約すると、牛糞と草木灰から純度の高い硝酸とカリを取り出したと言える。
この硝石があれば、慢性的にカリ不足に陥る地域で国産の資源で回避する事は可能となるが、手間を考えると牛糞と草木灰からリン酸や石灰(カルシウム)分だけ取り除く手法があり、リン酸や石灰過剰を回避した有機質肥料があれば良いのだけれども。
土壌中の糸状菌が植物に対して病原菌となるか共生菌となるか?は施肥次第