先日、テレビのニュースで窒素肥料6割減でも多収の小麦の品種改良の話題があった。

詳細は下記のプレスリリースに記載されている。

世界初!少ない窒素肥料で高い生産性を示すコムギの開発に成功―窒素汚染防止と食料増産をアンモニウムの活用で両立― | 国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター | JIRCAS


着目しているのは、無機の窒素肥料を施肥した時に発生する生物的硝化作用を抑制(BNI)することで、小麦にBNI能を付与している。

生物性硝化作用というのは、土壌中の微生物の働きにより、アンモニア態窒素から硝酸態窒素になることで、BNI小麦はこの作用を抑制する。


生物性硝化作用の抑制の利点は、硝酸態窒素は土壌からの流出が激しく、近隣の水質汚染の要因になっている他、途中の産物として二酸化炭素の298倍の温室効果がある一酸化二窒素も放出される。


似たような話題は、トウモロコシの根から強力な温室効果ガスの発生を抑える物質が発見されたの話題でも触れた。




今回の話題で思うこととして、窒素肥料の大量施肥のイメージが日に日に悪くなっていくのではないかと。

窒素肥料の大量施肥といえば、一番有名なもので、



家畜糞(主に牛糞)の大量投入がある。

家畜糞は動物性の有機物だから大量に施肥しても思われがちだけれども、ECを急上昇させる要因であるため、無機成分が多い。


有機質肥料としての量であれば比較的マシなのだろうけれども、土作りの土壌改良材というイメージが定着してしまっているため、有機質肥料としての利用の10倍以上の量を一気に入れてしまう。



家畜糞を大量投入した土壌は劣化し、植物の生育がおかしくなるため、生物性硝化作用が抑制されずに周辺を汚染する。

植物の生育が不調であれば、温室効果ガスである二酸化炭素の固定量も少なくなるため、家畜糞からの強力な温室効果ガスの排出を助長することになる。

牛糞で土作りをした時の弊害をまとめてみると


昨今のSDGsの流れから、環境不可の高い産物の不買運動が高まる傾向にあり、冒頭のニュースのような内容が増えれば、牛糞による土作りのこだわり野菜の価値が下がっていく可能性が出てくる。


施肥方法の転換はすぐにはできないので、今から準備をしておいた方が良いだろう。


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