ポリフェノールの分解の記事で、腸内細菌叢によってポリフェノールが酪酸や4-ヒドロキシ馬尿酸になることについて触れた。
腸内と酪酸というキーワードで思い出したことがあるので、今回はそれについて触れておく。
腸内細菌の話題において、酪酸は短鎖脂肪酸に分類される。
短鎖脂肪酸は炭素数が6以下の脂肪酸で、炭素鎖の片側の端にカルボキシ基(-COOH)がある。
短鎖脂肪酸は他に
炭素数3のプロピオン酸や
炭素数2の酢酸等がある。
これらの短鎖脂肪酸は腸内細菌叢の話題で注目されているらしい。
というわけで、その内容に触れておくことにする。
講談社から出版されている「腸と脳」の科学 脳と体を整える、腸の知られざるはたらきで短鎖脂肪酸について詳しく記載されている。
短鎖脂肪酸は(人が消化できない)食物繊維や油脂を腸内細菌が利用した後の産物で、腸等の臓器のエネルギー源として利用されるそうだ。
他にも何らかのシグナルとしての役割もあるそうなのだけれども、その中で興味深い話題があったので触れておく。
マウスにおいて、腸内細菌を除去し、酪酸を合成できない無菌マウスを用意し、酪酸の働きを調べた所、酪酸の投与によってうつ様の症状が改善されたという報告が記載されていた。
ここから酪酸はただエネルギーとして利用されるだけの化合物ではないということがわかる。
であれば、酪酸をたくさん摂取したら良いことがあるのでは?と思いたくなるが、酪酸が有り過ぎても免疫等が正常に動作しないという報告もあるので、さじ加減が難しい。
他の短鎖脂肪酸であるプロピオン酸や酢酸で、食欲や肥満に関与するといった報告があった。
機能が複数にまたがるので、短鎖脂肪酸の摂取のさじ加減は難しい。