ポリフェノールと生体内分子の相互作用2の内容に引き続き、ポリフェノールについて触れていく。

前回の記事まででポリフェノールが腐植物質に変化していく過程を見てきたが、もう一つ気になる内容として、ポリフェノールがどのように分解されていくか?ということも把握しておきたい。


この疑問に対して、ポリフェノールの科学|朝倉書店 に土壌中の話題ではないが、腸内細菌叢でのポリフェノールの異化代謝についての記載があったのでメモとして残しておく。


ポリフェノール、縮合型タンニンやアントシアニンといったいくつかのパターンがあったが、


Quercetin


健康食品でよく見聞きするケルセチン(クェルセチン)からの代謝経路について触れていく。




ケルセチンは


Phloroglucinol_structure


フロログルシノールと

フロログルシノール - Wikipedia


hydroxyphenyl_propionic_acid

※図:3-(4-Hydroxyphenyl)propionic Acid 501-97-3 | 東京化成工業株式会社を改変


3-(3,4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸に分離される。


前者のフロログルシノールは


Butyric_acid_acsv


酪酸や酢酸になる。


後者の3-(3,4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸は更に反応が続き、


hydroxyhippuric_acid


4-ヒドロキシ馬尿酸になる。

この先も反応は続きそうだが、ポリフェノールの科学|朝倉書店では、上記の反応が各々のポリフェノールの終点となっていた。


上記の反応中で、4-ヒドロキシ馬尿酸で突然N(窒素)が増えているが、これは何らかのアミノ酸による抱合を受けているのだろう。

※一つ前はプロトカテク酸であり、グリシン抱合を受け、ヒドロキシ基が一つ外れている。

プロトカテク酸 - Wikipedia




今回は腸内細菌叢でのポリフェノールの代謝を見たが、おそらく土壌中での分解反応もそう変わらないはず。


あともう一点気になることとして、腐植酸とは何なのか?3で触れた内容で、ポリフェノールを豊富に含むものを家畜に与えた場合、家畜糞ではポリフェノールの量は減ることが予想でき、家畜糞では土作りの効果が低くなってしまうことも予想出来る。


ポリフェノールを豊富に含む食品残渣はそのまま堆肥にしたいところだ。