渋味とは何だろう?の記事で、渋味について触れた。
渋味というのは口腔内で唾液に含まれる高プロリンタンパク質(PRP)とタンニンが結合して沈殿することにより発生する不快感を指す。
植物の作り出すタンニンは動物が摂取すると不快感があり、再び食べようと思わせないことを目的としているようだ。
※植物にとってのタンニンは防御に関することが大半
このタンニンだけれども、味覚に関して興味深い特徴がある。
そもそもタンニンだけれども、
有名なタンニンとしてお茶を挙げると、カテキンというポリフェノールが重合しているもので、お茶の味を決める3種の要素でカテキンには渋味か若干の苦味と紹介した。
このタンニンの不思議な味覚に関して、
河出書房新社から出版されている新しいワインの科学という本にわかりやすい記述があったので紹介する。
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渋みに似ているものに苦味がある。大部分のタンニンはおもに渋みとして感じられるものの、「苦味」として捉えられることもある。それは、タンニン分枝が小さくて、舌にある苦味受容体と作用できる場合だ。タンニンを苦味として感じることが最も多いのは、重合度が四のときであるらしい。重合度がこれより大きくなるにつれて苦味より渋みが増し、重合度七のときに渋みが最大に達して、それより分子が大きくなると渋みは減る。
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※河出書房新社 新しいワインの科学の350ページより抜粋
重合度について触れておくと、
紅茶のタンニンであるテアフラビンは
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カテキンというポリフェノールが二つ重合した化合物なので、重合度は2となる。
重合度が2ということは、苦味や渋みが弱いということになるはずで、ポリフェノール系の飲料は酸化が進むほど、ポリフェノールの重合が増し渋みが増えるということになる。
ワインの色素であるプロアントシアニジンを見てみると、
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重合度が2のポリフェノールであるため、テアフラビン同様、苦味も渋みも少ないポリフェノールであるはず。
ここまで触れて感じることとして、ポリフェノールについての理解を深めると人生が豊かになる予感がある。
というわけで、これからポリフェノールを含めた植物の二次代謝産物についてを知ることにしよう。