青魚にはDHAが豊富に含まれている?までの記事で単純脂質と複合脂質についてを見てきた。
残りの脂質は誘導脂質になる。
Calvero. - Selfmade with ChemDraw., パブリック・ドメイン, リンクによる
誘導脂質というのはコレステロールを指し、脂質二重膜の間に入り込み、細胞膜にしなやかさを与えたり、ステロイドホルモンの合成に関与するそうだ。
Roland Mattern - Roland1952, パブリック・ドメイン, リンクによる
コレステロールはスレロール骨格を持つ化合物で、詳細は端折るがアセチルCoAが関与するメバロン酸経路を経て合成される。
ここで気になるのが、コレステロールは今まで触れてきた脂肪酸と大きく異なる形をしているのに脂質の一種として扱われていることだ。
勝手に抱いていた脂質という用語のイメージとして、脂肪酸が含まれる、もしくは脂肪酸から合成された何かを脂質と呼ぶのかな?と思っていたが、コレステロールはこの条件を満たさない。
というわけで、改めて脂質という用語の定義を確認してみることにする。
Wikipediaに記載されている脂質の定義をピックアップしてみると、
・生物から単離される無極性溶媒に可溶(水に不溶)な物質を総称
・長鎖脂肪酸あるいは炭化水素鎖を持つ生物体内に存在あるいは生物由来の分子(生化学的定義)
になるらしい。
脂肪酸とコレステロールはどちらも上記の定義を満たすから脂質ということになるわけだ。
巷ではコレステロールといえば、善玉とか悪玉とか言われ、摂取を控えるような風潮があるけれども、働きを見る限り生体内で超重要な働きをしているので、単純な善悪判断をしてはいけないようなものなのだろうと想像できる。
脂質を豊富に含む食材を理解するにはここらへんの理解もしておく必要があるのだろうなと。