地下水を組み上げたら赤い水と油っぽいものが出てきたという話から、赤い水(赤い川)のことを調べ、赤い川には鉄細菌が関わっているということがわかった。
要約すると、土壌中の鉄分が水に溶け、その鉄から鉄細菌がエネルギーを取り出し、その時の副産物で水酸化鉄(Ⅲ)という油っぽい副産物ができる。
今回は突然現れた赤い川について見ていきたいと思う。
鉄が遊離するタイミングとして有名なものとして、土壌の鉱物が強酸に触れた時がある。
例えば、強い生理的酸性肥料(硫安等)を頻繁に使用した時とか
それともう一つ忘れてはいけないのが、
硫化鉱物(黄鉄鉱等)から発生される硫酸だろう。
硫化鉱物について株式会社誠文堂新光社 / 増補版 地層の見方がわかる フィールド図鑑の122ページから抜粋すると
/*************************************************/
硫化鉱物は空気に触れ、適度な湿り気がある環境では酸化が進みます。硫黄分は硫酸に変化し、金属は水溶性硫酸塩として地下に浸透してゆきます。その結果、地表には結晶度の悪い鉄酸化物(褐鉄鉱)が残留し、赤褐色の"かさぶた"ができます。
/*************************************************/
と記載されていた。
赤い川の下に堆積したものが後々褐鉄鉱になると前回記載したけど、その内容と一致する。
これを踏まえた上で、鉱山の話に入りたいと思う。
鉱山付近にはズリ山という採掘時に目的の鉱物でないものを捨てる場所がある。
例えば、マンガン鉱山だった時に黄鉄鉱が採掘されたら、その黄鉄鉱を捨てるとか。
鉱山自体が山の上の方にあることが多く、山の上の方に局所的に特定の鉱物が堆積している箇所があると言える。
このズリが急速に風化することで、川下の方に多大な影響を与えることがあるらしく、現にこれで麓の産業に対して大きなダメージを与え、地域全体で廃業に追い込んだということもあったみたいだ。
※硫酸の発生源ではpHが2.0近くになることもあるみたい。
最近はこれらの問題を回避するための対策があるみたいだけど、一昔前に廃鉱になった箇所は対策を立てていないことが多い。
鉱山のズリの影響で地下水が赤くなり、その問題が今でも残っているということは十分に考えられるわけで、改めて質問してきた方の畑を地図で確認してみると、すぐ近くの山にはマンガン鉱山跡があって、その鉱山跡の近くにはお茶畑が広がっていた。
※茶園はpHが低いことが良い環境
ちなみに先日の記事で掲載した写真の箇所は、周辺にはおそらく鉱山跡がなく、山を切り崩してできた土地だった。
最後に赤い水が植物に与える影響だけど、
周辺の草では目立った生理障害は見られなかった。
赤い川の水には毒性がないのか?
たまたま赤い水に強い植物が残ったのか?
そこらへんはじっくりと見ていかないといけないけどね。