顧問として関わっている京都農販のほ場で信じられない光景を見た。


それは、


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旬でない時期のネギにも関わらず、農薬による防除が1回で収穫まで行き着いたことだ!


この防除一回というのは、アザミウマという虫による食害を回避するためのもの。

病気に対しての農薬の使用は一切行っていない。


この話の何がすごいのか?を伝えるために、ネギの栽培の一般的な話をしよう。

ちなみに匠レベルにまで到達した有機栽培の土であっても、旬でない時期の作物の栽培を農薬なしで栽培するのは難しいだろう。

オーガニックとGMO、突き詰めると同じことが起こってる




まず大前提として、個々の作物には旬の時期というものがあって、旬の時期であれば栽培は比較的楽なんだけど、旬でない時期に無理やり育てるのは農薬なりの強制的な防除が必要となる。


ネギの旬は冬だ。

ネギは寒さに強く、これから徐々に暖かくなる時期は逆に大人しくなってくる。


ネギは強いと言われるけれど、梅雨や夏の暑さの中では強さを発揮しない。

続いてネギの周年栽培において、一般的な収穫までの農薬使用回数を述べておくと、8〜12回あたりになるらしい。


この手の話が出てくると必ずといって良い程言われるのが、面積が少なかったから、家庭菜園的な人力の管理ができたんじゃないの?

という意見に対して、ネギの栽培は1haと専業よりは少ない面積であるけれど、本業でないことと、皆様に対して的確な情報を届けるための情報収集を兼ねた事業なので、家庭菜園的な人力の防除管理は行っていない。




この話題を挙げた時、必ずといって良い程質問されるのが、一体どのような栽培をしたらこうなるのか?だけど、その詳細はこの場では長過ぎるので控えるけれど、私が関わった箇所として主に、

・腐植が的確に蓄積される施肥設計

・カルシウム過多にならないような施肥設計

・残留性が高い無機塩の肥料を使用しているという意識を持つこと

・微生物の増殖のパターンの把握

があり、設計の根本にある化学を社内研修を通して共有した。

※私が実際に設計したわけではありません。

肥料の残留成分の影響と対処について@京都農販


実際の栽培では、

・常に気温に対する湿度を意識する

・的確な時期且つ丁寧な追肥

・根に酸素を届ける工夫

といった当たり前のことだけど案外難しいことを丁寧にされたとのことです。

酸素供給剤で根張りを良くしたい


その結果、


kyonou_negi


根量は非常に多く、しかも根は非常に白い状態となり、おそらくこの根によってミネラルの施肥効率は向上したのだろう。

今回の栽培によって、有機無機問わず、栽培で追求すべき目標の環境は同じで、求める解がもうすぐ先にあるような気がした。


発根を追求するのは大事だね。


これから梅雨という相当不利な時期に入るので、流石に次の作付けでは防除一回は難しいはず。


追記

ネギの防除に使用される農薬代は1反(10a)あたり1回の平均は15,000円あたりで、収穫までに10回農薬防除したとすると、1反あたりの農薬代は150,000円となる。

1ha(10反)になると1,500,000円になり、10ha(100反)になると15.000,000円となる。

※もちろんここに散布者の人件費も発生している。


ここで防除の回数が半分になるだけで、相当な経費削減につながり、利益率は向上する。

肥料は農薬程高くない上、肥料は累積型の投資のような振る舞いになる。


とは言っても、今回の設計はおそらく周辺で使用されているものと同じぐらいだし、もしかしたらそれよりも安くなることもある。


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