露地、ハウスに限らずカリウムが不足しているという症状を頻繁に見かける。
不調の畑でカリウムの追肥を多めにしてみてはというだけで幾分問題が軽減されるのがその証拠。
農学を学ぶ際によく言われることとして
カリウムは土壌や川から引いた水に豊富に含まれているから欠乏しにくい
ということがあるけれども、
それはあくまで土を大切に労った方の畑での話のはずで、感と経験の名の元に隣の畑が良かったからうちもそれをするの方針では、おそらく連作と土壌劣化の影響でカリウムどころか鉱物由来の微量要素も不足しているはず。
カリウム不足といえば、
カボチャの果実内発芽の原因で、果実内発芽が発生しているカボチャは美味しくない。
※土壌中の窒素過多もあり得る
果実内発芽はタネの休眠が深くないことが要因で、タネの休眠は果実の成熟に関与しているはずで成熟が弱いというのが味覚に影響を与えているのかもしれない。
ここでふと思ったのが、
人体におけるカリウム自体の味覚はどうなのだろう?
ということ
カリウムの味覚に関して、
遠藤 由香他 にがり成分が食塩の呈味性に及ぼす影響 Bull. Soc. Sea Water Sci., Jpn., 69, 105 - 110(2015)
という論文に行き着いた。
この論文は海水から得られる苦味成分が食塩の塩味にどのように影響を与えているのか?を各成分で細かく分析したもので、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムと塩化マグネシウムで試験している。
最初にまとめに記載されている海水塩のことに触れておくと、海水塩は電気分解塩と比較して、マグネシウム等のにがりを含んでいるのは常識のようなもの。
このにがりが味覚の相乗効果で純粋な塩化マグネシウムよりも複雑でまろやかな塩味となる。
それを踏まえた上で、塩化カリウムと硫酸ナトリウムを添加した食塩水では、塩味が強くなり、味も濃く感じられた。
マグネシウム塩の添加による塩味の変化は上記とは逆になった。
塩化カリウムの塩素イオンかカリウムイオンのどちらに塩味を強くする要因が高いのかは触れてはいないけれども、カリウム濃度という表現であったので、カリウムイオンに感知していたと仮定して話を進めると、
野菜の美味しさとは何だろう?味蕾のことの際に触れたスイカに少々の塩をまぶすと、塩の塩味が舌の甘味や旨味センサーの閾値を下げ、より甘く旨く感じるようになるという事を触れた。
カリウムが人の舌の味覚の増強が出来るのであれば、
美味しい野菜は一般的な野菜よりもカリウムが豊富に含まれている野菜のことになり、丁寧な管理のもと、深刻な土壌劣化を起こしていない畑から収穫できた野菜ということになる。
人体においてカリウムの役割は排出なので、カリウムが塩を代替することで塩分の摂取を控えることができ、更に排出を促すので高血圧の症状に有効になるはず。
これはGABAの回でも同様の内容で触れた。
これらの話から
「野菜の美味しさ = 食べると健康になる」の予想もさらに現実的を帯びてきた。
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