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前回の野菜の美味しさとは何だろう?オルニチンの記事で、

だだちゃ豆に豊富に含まれている旨味成分であるオルニチンについて触れた。


前回の内容でのオルニチンは、

有害なアンモニアを尿素回路を経て、害が少ない尿素へと変わる反応の際に利用されることを見た。


今回は植物体内で他にないか?ということで追加で検索してみた際に見つけた内容を紹介する。




草野 友延 植物におけるポリアミン研究の現状 Regulation of Plant Growth & Development Vol.50, No.2, 144-149, 2015でポリアミンであるプトレシンについて触れていた。


先にポリアミンについて触れておくと、


By Calvero. - Selfmade with ChemDraw., パブリック・ドメイン, Link


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ポリアミン (polyamine) は、第一級アミノ基が3つ以上結合した直鎖脂肪族炭化水素の総称。2つ結合したジアミンを含める場合もある。ウイルスからヒトまで、あらゆる生体中に含まれ、細胞分裂や蛋白合成などの活動に関与している成長因子である。

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ポリアミン - Wikipediaより引用


ポリアミンは食品では貝やダイズに多く含まれている。


ポリアミンであるプトレシンに焦点を当て、


プトレシンの合成は

オルニチンからオルニチン脱炭酸酵素(ODC)により合成される経路と、

アルギニンからアルギニン脱炭酸酵素(ADC)を経て合成される経路がある。


ODCの経路の方は主に動物や糸状菌の細胞にあり、

ADCの経路の方は主に植物の細胞にあり、

モデル植物であるシロイヌナズナではODCは発見されていないので、

ダイズもODCの経路はないかもしれないが、


前回の記事でアルギニンは尿素回路内の物質であるため、

どちらの経路であってもオルニチンが関与するのは間違いない。

※植物に尿素回路があればの話で、そこまでは論文を読み込んではいない


植物体内でのポリアミンの働きを見ると、


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このプトレシンを含むポリアミンは植物体内でポリアミン酸化酵素によってポリアミンが分解して生じる過酸化水素が、生体防御に重要な役割を果たすことが示唆されている。

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※講談社 新しい植物ホルモンの科学 第3版 178ページより引用


過酸化水素を含む活性酸素は気孔の開閉、細胞壁の強化や免疫として作用する。

リグニン合成と関与する多くの金属たち


過酸化水素の話がちらつく以上、人体においてプトレシンと摂り過ぎで何らかの弊害がありそうだけれども、

摂り過ぎでなければ良い作用があるわけで、

「野菜の美味しさ = 食べると健康になる」の予想が更に現実的を帯びてきた。


追記

森口卓哉 植物におけるポリアミンの代謝・制御およびストレス反応へのかかわり 果樹研報 Bull. Natl. Inst. Fruit Tree Sci. 3:1~20, 2004でポリアミンと植物のストレスの軽減の話題があったので触れておく。


・トマトで高温ストレス

・レモン、グレープフルーツやピーマン等の果実での低温ストレス

・ヒマワリ等で塩ストレス

・浸透圧ストレス

・カリウム欠乏ストレス

・イネやコムギの茎葉で低酸素ストレス


これらの環境からのストレスを


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アミノ酸肥料と酵素活性に必要な各種の金属(微量要素)で回避できる可能性がありそう。


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