銅の機能を活かした農薬、ボルドー液で(おそらく)胆礬と石灰岩を燃焼させたものでボルドー液という農薬を作成したことを記載した。


で、今回はボルドー液の機能を記載しようと思ったがその前に植物にとって銅は微量要素の肥料成分として捉えられているので、植物体内で銅がどのような働きをするのか?を見てみたい。


JAの営農のハンドブックを開いてみると、銅(Cu)は下記のように記載されていた

おもな吸収形態:Cu+、Cu2+

おもな生理作用:

1. チトクロームa、アスコルビン酸酸化酵素、チロシナーゼ、ラッカーゼなどを構成

2. 葉緑素の形成、タンパク質の代謝、傷の保護作用などに関与

3. 鉄、亜鉛、マンガン、モリブデンと相互作用がある。銅過剰は鉄の吸収・移行を阻害

(施肥診断技術者ハンドブック 2003 JA全農 肥料農薬部 67ページより引用)


1のチトクロームは以前シトクロムという名で記載した酸化還元酵素。

アミノレブリン酸のポテンシャル


シトクロムは難しいので、光合成や呼吸時の有機物の酸化還元あたりで使用されているということで良しとしておこう。

電子伝達系でATPをたくさん作る


アスコルビン酸といえばビタミンC。

これも体内の酸化還元に関わっているということになる。

鉄過剰症で見えてくるマンガンの存在


チロシナーゼ・ラッカーゼも酸化に関わる酵素。

ラッカーゼはフェノール類を酸化することに役立つ。

ラッカーゼ - Wikipedia


フェノール類といえば、以前、フェノール性化合物で合わさるとリグニンという話題を挙げた。

枝は腐植になるか?

土壌中の腐植量はどのように測定されているのか?


リグニンは体を強化する物質であるため、固くしたり傷口を封じたりという作用があるだろう。

となると、生理作用の2の項目は1の項目の各種酵素で行えることがわかる。


これだと銅は鉄やマンガンと同じような作用になるじゃないか!と以前の自分だったらそう感じてしまうが、その感覚を


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星屑から生まれた世界 - 株式会社 化学同人


星屑から生まれた世界という本によって一新された。


この本は、鉄は便利だけど使用時に細胞内に活性酸素を溜め込んでしまうため使いにくい。

銅は強力だけど鉄のような副作用はない。

という記述一つで、農学でいう微量要素の理解がすっと腑に落ちた。


現代を生きる生物にとって活性酸素は厄介だけど、使いようによっては便利という話があるため、生物が鉄と銅を使い分けているのは納得できる。

発生し続ける活性酸素