野菜全般に言えることだけれども、特に葉物野菜で筋っぽくなるのは、
栽培後期で花を咲かせる準備が開始され、葉に貯えた養分が花芽に移行し、細胞壁等の繊維は移行しないからということが通説である。
この説が正しいとして今回の話を進めることにする。
野菜の美味しさとは何だろう?食感の記事で米ぬか嫌気ボカシ肥と無機成分多めの肥料で栽培比較した際、後者の方が筋っぽくなったという話題であった。
筋っぽくなったということで後者の方がはやい段階で花を咲かせる準備に入ったと仮定すると、
作物は環境から何らかの影響を受けて花芽形成が早まったと考えられる。
一般的に欠乏症が見られ不調だなと感じるもの程、花が咲くのがはやいという感覚があるだろう。
というわけで、開花とストレスで検索してみたところ、塩ストレスと開花についての研究報告に行き着いた。
KAKEN — 研究課題をさがす | 植物の開花とストレス経路を統合制御する因子の解析とその育種的利用 (KAKENHI-PROJECT-24580003)
研究報告内で、シロイヌナズナで塩ストレス環境で塩濃度が高い程、開花がはやまったという記載があった。
遺伝子発現からの内容も記載されていたので、リファレンスを辿ってより詳細な内容を触れることも出来るけれども、今回はここまでにしておく。
開花がはやまったということは、光合成を経て成長する期間が短くなったと言えるわけで、土壌から様々なミネラルを吸収できる期間も短くなり、有用な光合成産物を合成出来る期間も短くなったと言える。
開花=葉物野菜の食感が低下するということであれば、
土壌の物理性を高めて、高塩環境を避けるということが野菜の美味しさを向上させる要因となることに繋がる。
逆に塩濃度を高めてしまう家畜糞堆肥に因る土作りは野菜の美味しさを低下させる要因になることになる。
開花がはやい株はストレスを沢山受けているという通説が正しければ、
健康的に育てた野菜は美味しくなり、美味しいが故に沢山食べて人の健康へと繋がるはず。