先日、大阪市立自然史博物館で開催中の特別展昆虫に行ってきた。
連休中ということもあって中は非常に混んでいた。
博物館の前で女の子がポスターを見て、カマキリ先生と言っているのを見ると、
Eテレの香川照之の昆虫すごいぜ!は偉業を成したと実感する。
香川照之の「人間よ、昆虫から学べ」という名言がある。
材料工学において昆虫の模倣というものは非常に重要で、
薬学において昆虫から抽出した物質も重要で、
昆虫の研究というのは年々重要度が増していく。
そんな中、昆虫展が混雑しているという状況は、科学の発展において良い傾向になっているなと実感する。
昆虫展に行ったという話はここまでにしておいて、
前回の殺菌剤に病原菌の滅菌作用があると期待することが問題だに話題を戻すことにしよう。
作物の栽培において、
畑で病気が発生し、畑全体に蔓延した状態になったら、殺菌剤で進行を止めることは難しい
という考え方がある。
これは殺菌剤には滅菌作用があるわけではなく、菌内の代謝を阻害して、菌を弱体化させ、徐々に死滅させる作用が主であることに起因する。
弱体化させたとしても、病気は進行してしまうため、
そもそもの話で作物を病気にさせない、つまりは予防が必要であることになる。
予防をする上で作物を健康的に育てて、耐性を高めるというのは一手だけれども、
感染経路を把握して、経路を潰すというのも有効な手となる。
病理学の教科書に書かれているような内容を整理してみると、
全部で4個所(上の図では3個所)あって、
・主にカビ由来の病気で葉の表面に漂着した菌が菌糸を伸ばして、葉の表面を削りながら植物体内に侵入する
・主に軟腐病菌で葉の裏の気孔から侵入する
・大体の病気に言えるもので虫の食害穴から菌が侵入する
・花の形成時に菌が侵入する
というものがあるらしい。
一番目の葉の表面からの感染は葉表面が硬くなれば感染は減るはず。
二番目の葉の裏の気孔からの感染は光合成が盛んで蒸散も盛んであれば感染は減るはず。
一番目と二番目は肥培管理と湿気等の管理を適切に行えば予防に繋がることになる。
これから触れていきたい話題として三番目の食害跡がある。
病原菌を媒介する昆虫としてアザミウマという2mm程度の大きさの昆虫がいる。
アザミウマに食害されると、葉の表面に小さなかじり跡が無数に付き、そこから病原菌が侵入することがある。
作物の病気の予防において、
アザミウマに注目することが非常に重要であることがわかる。
アザミウマの防除については
マルチムギが劣化土壌に果敢に挑むの記事でマルチムギの叢にアザミウマの天敵が増える
という話題で触れた。
天敵も含め、昆虫を意識することは今後更に重要になってくる。
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