粘土鉱物が出来る場所までの記事で、
流紋岩質の凝灰岩で熱水変質作用によって珪酸塩鉱物が粘土鉱物になるまでを見てきた。
100℃以上の熱水(主に水素イオン)によって変成が進むことがわかった。
もう少し深堀したいと熱水変質作用周辺を調べていたら、今までのテーマからは離れているけれども、シリケイトメルトという用語とメルト中の水についての論文に行き着いた。
奥村聡 シリケイトメルト中の水の拡散 - 岩石鉱物科学 35, 119-125, 2006
ちなみにメルトというのは溶岩中の液体部分を指すので、シリケイトメルトは高温で溶けたケイ素(シリカ)ということになる。
上記の論文では玄武岩(粘性が低い)〜流紋岩(粘性が高い)質のメルト中の水の拡散について述べている。
※各温度における水の挙動は難しくなるので触れないでおく
はじめにシリケイトメルトの構造に触れると、酸素、網目形成イオンであるSiやAlと網目修飾イオンでであるNa等がある。
網目形成イオンをMと表記することで、メルト中のケイ素周りの構造はM-O-Mと表すことになる。
これらを踏まえた上で、シリケイトメルト中の水は主に水酸基および分子水として溶解していて、水とシリケイトメルトの反応は、
H2O(メルト中の水) + M-O-M ↔ 2M-OH
となり、
シリケイトメルト中の水は網目形成イオンや網目修復イオンと反応することでOHを形成する。
以前、含水鉱物はOH基を含むと記載した。
粘土鉱物が出来る場所の記事で、温度は全然異なるが、熱水変質作用でも熱水で変成した鉱物にはOH基が付与されていたので、堆積された珪酸塩鉱物での反応もシリケイトメルトと同じような反応と見て良いのだろうか?
まだまだわからないことだらけだと痛感する。